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2014年10月22日 (水)

The Tudors : ヘンリー8世のドラマ

HuluでThe Tudorsっていうドラマをやっている。
ものすごく、ゴージャスなシリーズだ。
映像だけでも、ほれぼれする。オープニングだけでも見る価値があるかもしれない。


主人公は、ヘンリー8世。
言わずと知れた、有名人。
なので、いろんな見解や分析があるんだろう。と、思いつつ、
ドラマからの個人的な解釈。

彼は、ローマからの支配を逃れて、イギリス国教会を創設した王として歴史年表に出てくるんだけど。。。ドラマや映画では、アン ブーリンのストーリーでも有名だ。

彼は結婚直後に急逝した兄の跡を継いで即位するんだけど、その時の王妃はスペイン出身で、神聖ローマ帝国の王の縁者でもあった。故に、兄の妻だったキャサリン オブ アラゴンを妻にする。しかし女の子しかできない。(その子は後にメアリー1世になる)で、男の子を持つために、若いアン ブーリンを妻にしたいと、離婚(兄の妻との結婚の無効)しようとするんだけど、カトリックの時代、それはローマ法王の許可を得なくてはならず、オッケーが出ない。。。。っていう所から、イギリス国教会を創設し、絶対王政っていうのの概念を作って行く。要するに、王様がいろんな意味で一番偉かったんだけど、宗教としてのよりどころとしては、ローマ法王だった。それを、現世的な意味でも、宗教的な意味でも、一番偉いってのを自分にしたんだった。

っていうハナシからのイロイロなんだけど、
すずめ的解釈。

なぜ、アン ブーリンを王妃にしなければならなかったのか。
いろんなストーリーでは、彼女が結婚を迫ったっていうのがあるんだけど、
何か、不自然。なぜ、絶対王制を構築しようとする程のヘンリー8世が、そんな小娘の言いなりになるか。。。

彼は、この結婚によって、ローマの権力からの脱却を企画したかったのでは。アンブーリンの逸話は、そのデモンストレーション。
もともと、ローマ法王庁が離婚を許可するワケが無い。それを知っててワザと願い出た。そして、そのローマ法王との決別の初仕事としての、自分の結婚。
ヘンリー8世の推進したイギリス国教会のこの時代のイデオロギーは、どちらかと言うとカソリック的。(対局には当時の宗教改革で台頭したルターのプロテスタントがある)それほど、カソリックの教義を脱却しなければならない理由は無い。だが、当時の大陸(神聖ローマ帝国とフランス、スペイン。。。)の勢力図から政治的に独立するためにコレが必要だった。(こういう解釈はもちろん、一般にも言われてる)
だが、アンブーリンは結果的に女の子(後のエリザベス1世)しか作れず、次が必要になる。で、いろいろでっち上げて、処刑。
イギリス国教会はカソリック風だったので、離婚は出来ず処刑して、次。
庶子ではなく、正統な男子の後継者を欲しかったワケだ。

ドラマでは「恋」多き王として描かれるが、アンブーリンは美女ではなかったらしい。他の女性達もそれほどではなさそうだ。それより、賢さが目立つ。ヘンリーは恋ではなく、頭の良い女性を求めたのではないだろうか。その賢さを次の王に遺伝させたいために。ドラマではキャサリンハワードはおバカな女の子として描かれるが、これはどうだったのか。この手の歴史の元になる資料って、当時の「当局」が作ってるんだし。

ところで、一番、すずめ的に興味深かった点。
ヘンリー8世は、イギリス国内にあった、修道院を皆、潰していく。
なぜだったのか、もちろん、クロムウェルによって、これらの財産が皆没収されて、イギリス国王の金庫に入る。それが大きい。
だけど、このドラマには時々出て来る台詞がある。
「迷信などを払拭したい」
当時、中世の闇から脱却しつつあり、ヘンリーの世はルネッサンスとしても分類される。
中世と言えば、そう、魔女狩り。
魔女は箒に乗るとか、どっかに痣があるとか、イロイロ、非科学的な迷信がある。
魔女関連じゃなくても、いっぱいいろいろあったんじゃないだろうか。ヘンリーは自分で薬を調合しちゃう位の頭の良さもある。

彼が行いたかった改革は、
本当は、宗教ではなく、
宗教から、科学への脱却だったのでは。

だから、ローマ法王庁から独立し、
同じような政治的装置であるイギリス国教会を作った。
だけど、形はミニチュアでも、理念は違う。
本当に狙ったのは、「科学」だったのでは。
まだ、この時代、科学という概念の萌芽はあまりに小さく不明瞭だったけれど。
でも、この100年後に、イギリスは、アイザックニュートンらを生む国になっていく。
この基盤を作ったのが、彼だったのではと。


って、思ったんだった。
Hulu おもしろっ。

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