マルハニチロ 経緯と対策への推理と妄想
この事件、この49歳男性が犯人と決まったわけではない。
本当かどうかは裁判を通して分かるが。。。とりあえず、いろんな情報が出て来たので、
妄想推理してみる。
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まず、この件で
多くの関係者に共通した関心は、「どう」やったのかということだろう。
もちろん、「なぜ」も重要だが、それ(組織内の軋轢など)を消すのはなかなか難しい。なので、「どう」やったかを参考に、その筋道を切っていくしか無い。
なぜ、この問題がこれほどの社会的、経済的影響があったかというと、社会が気づいたからだ。なので、毒物混入は効果的に行うためには、1点以上、気づく程度の被害がある濃度が必要になる。
食品の異臭であれば、まず、通常のロジックを疑う
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140107-00000024-zdn_mkt-ind
(下に全文)
「食べ物に農薬を混入させるなど何とも思っていない人々なのだから。」
これは、現在の製造現場では当然の意識であると考えられる。食品工場内に入れる人員は不特定多数ではなく、特定の管理された人で、全員善意の人であると考えられる。この場合は、改装した時のペンキの臭いであるという原因を追いかけたとある。何万個と生産されている食品の不具合全部に、星の数程の種類が存在する毒物検出のような検査をしていたら、たまったものじゃないだろう。
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要するに、ちょっとやそっとの不良であれば、浮上しないのであろう。今回もかなりの高濃度で、食べた者に健康被害が出たから、企業も、ペンキ以外の疑いを持ったわけだ。
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犯人の立場になって考えると、効果的に加害するためには、
いくつかを高濃度で、混入させ、あとは、低濃度で複数。。というのが、一番波及の大きいやり方だということになる。
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そこに、もう一つ、うまいファクターがある。時間的ギャップだ。
http://mainichi.jp/select/news/20131230k0000m040039000c.html
今回の問題は、群馬工場のミックスピザを購入した消費者から「異臭がする」との指摘が11月13日に寄せられたことを契機に発覚、最大で基準値(0.01ppm)の150万倍に当たる1万5000ppmのマラチオンが検出された。公表まで1カ月半かかったことについて、田辺社長は「最大の反省点」と述べた。(引用ここまで)
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そして、農薬混入の事実の公表は12月29日
生産され、各地に輸送されて消費者が手に取るまで、何日かのギャップがあり、それが苦情として寄せられ、検討され、検査機関に運ばれた後、原因究明まで、時間的ギャップがある。この間に「犯人」は証拠を隠滅することができる。
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今回も、証拠としては靴などからの農薬検出とあったが、そういうものも捨ててしまえば良い。おそらく今回の調査でも、単に衣服や靴から検出されたというだけの証拠では逮捕まで踏み切れなかったろう。その人の背景や個人的な軋轢など聞き取りをして、ある程度問題がありそうな人間であるという要素もあったのではないだろうか。どんなに「あいつがおかしい」という評判があったとしても、何の証拠も無い人間を犯罪者として訴えることはできない。衣服や靴さえ無ければ捕まらなかった可能性もある。
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で、方法であるが、
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おそらく、小さなチューブなどに液体などにした農薬を入れ、袖口などに貼っておけば、手をかざしているようなポーズをすれば、簡単に混入させられるだろう。二人体制にしていても、ずっと相手を見張っているのは不可能だ。やろうと思えばできるだろう。
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さて、では、どのように防げば良いか。
これは、もう、全工程のすべてに、ビデオカメラでの監視体制を入れるしか無い。
そして、できるかぎり、オートメーション化することだろう。
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ただ、疑えばきりが無い。工場内はそういう追跡が可能だが、
原材料への混入はどこまで追えるのか。
原材料への混入は穀物などでは濃度は薄められてしまうかもしれないが、肉類はどうだろう。屠殺直前の牛に高濃度毒物を注射されていても、気づくだろうか。(色が変わるなどあれば良いが、外から分からない肉の深部にあったらどうだろう)
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こうなると、果てしが無い。
起こるとなると、もう、確率の問題になる。
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だけど、おそらく、一つだけ言えることがあるだろう。
犯罪率、その質においても、日本は世界に冠たる安全な国だ。
上記のような事は、世界中の国についても言えるが、その起こる確率は、その国にどれだけ心が荒んだ人がいるかに相関するのでは無いだろうか。毒入り餃子の時も思ったが、食品がグローバルなスケールで生産されている現在、安全な国の食品は安全であるというのは、ある程度言えるはずで、日本は、こんな事件があっても尚、安全であると言えるのではと思う。
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■担当外ライン、どう混入?=「契約社員に不満」指摘も―農薬混入
(時事通信社 - 01月25日 21:01)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=4&from=diary&id=2737277
アクリフーズ群馬工場製の冷凍食品からは、フライ、ピザ、コロッケの9点から農薬マラチオンが検出された。9点は種別ごとに別々の部屋に仕切られたラインで加工後、仕切りのない包装室で包装されていた。逮捕された契約社員阿部利樹容疑者(49)は、このうちピザの製造ラインを担当。県警は、どのようにして担当外のラインの製品にまで農薬を混入させることができたのか、他の関与者の有無も含めて捜査を進める。
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同社などによると、群馬工場では従業員約300人が2交代制で勤務。各ラインは常時複数人で担当し、従業員が1人になる機会はないという。ある男性従業員は「生産中に、従業員が担当以外のラインに行くことはありえない」と話す。
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マラチオンは同工場内に本来、存在せず、従業員はポケットのない作業着を着用していた。女性従業員は「ティッシュさえ持ち込めず、農薬を持ち込むのは困難だ」と話す。県警は農薬の持ち込み方法も調べる。
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同工場の契約社員には、不満が根強かったとの指摘もある。アクリフーズなどによると、従業員の約3分の2は阿部容疑者と同じ契約社員。元従業員の女性は「正社員と契約社員の間には溝があり、職場に上下の隔たりがあった。正社員への不満を持っている人は多く、ストレスで辞める人も多い」と話す。
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同工場に詳しい関係者も「一緒に働いているのに、正社員は休んで、なぜ自分は土日も働いているのかという人もいた。(契約社員で)不満のない人はいないと思う」と指摘している。
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140107-00000024-zdn_mkt-ind
マルハニチロはなぜ冷凍食品の異臭を「農薬」と結びつけられなかったのか?
Business Media 誠 1月7日(火)11時37分配信
窪田順生の時事日想:
マルハニチロホールディングスの連結子会社「アクリフーズ」の冷凍食品に、農薬「マラチオン」が混入していた事件で、その対応が批判されている。
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『毎日新聞』によると、「石油・機械油のような匂いがする」という苦情が初めて寄せられたのは11月13日。ところが、問題の冷凍食品が製造された群馬工場が外部の検査機関に分析を依頼したのは3週間後の12月4日。残留農薬の検査にいたってはその2週間後と、対応が遅いという印象が拭えないからだ。
なんで苦情があった時点で検査に出さないんだよ、と怒りを感じる方もいるだろう。これが口に入れるモノをつくる企業の安全意識かね、と憤る方も多いだろう。
ただ、もうかれこれ15年くらいさまざまな業界、企業の不祥事を取材してきた身から言わせていただくと、日本企業特有の“悪いクセ”がでたなあという感じで、特に珍しい印象はない。
こういう仕事をしている関係で、いろんな企業から「実はこんな問題が起きていますが大丈夫でしょうか?」なんて相談を受ける。こちらとしては、これまでの取材経験やら、類似するリスク事例からありとあらゆる可能性を示唆するのだが、そこで気付いたのが、組織外と、組織人の認識のギャップである。
●目の前にある「現実」から目をそらす
例えば、外から見ると「十分ありえるだろう」というリスクを「現実的ではない」と言い切る。こちらは、荒唐無稽な話をしているわけではないのに、「ウチの会社ではちょっとそれは考えられませんよ」なんて笑い飛ばす。つまり、組織の中にいると「あって欲しくない」ことを「ありえない」と錯覚してしまう人が非常に多いのだ。
そして、こういう人がトップにいる企業に限って、後々とんでもない不祥事が起きたりする。アクリフーズの記者会見や報道を見ていると、そんな企業と同じ匂いがプンプンする。
消費者から、「おかしな匂いがする」というクレームが続けば、まず「異物混入」を疑うのは当然だ。しかし、異物の混入というのは、自分たちの製造工程、安全管理を否定する。それはアクリフーズにとって、「あって欲しくない」ことだ。
そんな暗い気持ちに陥っている時、誰かが言う。
「9月に工場を改装したから、その塗装が紛れこんだんじゃないの?」
まるで暗闇のなかで一筋の光が差し込んだように、ワッとみんながその仮説に飛びつく。「それが現実的だ」「そうとしか考えられない」なんて声をかけ合いながら。自分たちの存在を全否定するような答えよりも、こちらの過失のほうが遥かに魅力的だからだ。
こうして、アクリフーズの田辺裕社長が記者会見でおっしゃったような、「ペンキなどの匂いが付く可能性を追いかけたため、農薬を特定する作業が遅れた」という状況が生まれる。
同社は12月17日に検査機関に残留農薬を調べてもらっているのだが、その理由は「農薬によるにおいでないことを証明するため」だったという。つまり、彼らは目の前にある「現実」から目をそらし、自分たちの望む答えをつくり出すことに、1カ月以上を費やしていたということになる。
●安倍首相の靖国参拝について
ただ、これはアクリフーズに限らず、「日本」という組織の特徴でもある。アクリフーズの事件が公表されたのと時と同じくして、ある炎上事件が話題になった。
『情報ライブ ミヤネ屋』に出演した春香クリスティーンさんが、安倍首相の靖国参拝について「海外ではヒトラーの墓参りにたとえられることもある」と発言としたことで、例によって愛国心溢れる方たちを中心に大騒ぎになったのである。
外国人のなかには、戦前の日本をナチスにたとえる者などいくらでもいる。そういう誤解が横行しているのは事実だ。そういう意味では、彼女はなにも間違ったことは言っていない。
以前このコーナーで触れたが、日本をナチスと重ねる意見広告をタイムズスクエアにうつなどして、韓国や中国のロビイストは寝る間も惜しんで日本の悪口を広めている。
日本人からすれば、靖国をヒトラーの墓参りなどいうのは失笑するような「ありえない」ことだが、日本という「組織」の外から見れば、「十分ありえる」なのだ。
「靖国をヒトラーの墓参りなんてバカげた話、日本の友好国は相手にしない、きっと支持してくれるさ」なんて高をくくっていると、マルハニチロのように、すべてが手遅れになってしまうかもしれない。
相手はどんな手だってつかってくる。なにせ相手は、食べ物に農薬を混入させるなど何とも思っていない人々なのだから。
[窪田順生,Business Media 誠]
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