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2013年9月 7日 (土)

餓死=お金の問題 では無い

■冷蔵庫カラ…母死亡、娘は2週間前から水だけ
(読売新聞 - 09月06日 11:59)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=20&from=diary&id=2568180
餓死と言えば、必ず、お金に困っていたのだという推測がされる。そして行政は彼らにお金を与えるべだったと。しかし、問題はそんな所では無いのでは?
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この記事に関しては分からない。
しかし、記事中に民生委員とのやり取りが存在したことがうかがわれる。また、二人のこの年齢を考えると、もし、年金の金額では餓死するほどであれば、何らかの経済的支援を受けられていたはずだということも推測できる。
コメントには行政への批判が散見されるが、この問題を行政による経済支援という回路で解決できたのか。
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個人的な経験がある。
隣家は近所では資産家であると言われていた。無くなった当主が大きな資産を持っていたそうだ。今は分からないが、少なくとも高級住宅街の駅に近い自宅は、土地だけで億単位の資産であるのは、容易に想像できる。
しかし、その生活は酷いものだった。
住んでいたのは、上品な夫人。そして、離婚して戻って来たといういかにも偏屈な男性。年齢的にはこの親子と同じような組み合わせだったろう。90歳と還暦近い母と息子。
時々母は庭先を掃除していたりして、顔を合わせることがあった。しかし息子は、仕事もしていないのだろう、いつも近所をぶらぶらと歩いていた。
そのうち、その臭いが強烈なのが分かった。通るたびに、浮浪者のように臭うのだ。着替えも風呂も入っていないのが分かる。時々近所のコンビニで弁当を買っているのを見かけるようになった。以前は母が調理していたのだろうが、しなくなったのだろうことが、想像できた。着替えもせず、風呂も入らない。おそらく冷蔵庫は空っぽだろう。
息子が心を病んでいるのは疑問の余地は無い。とは言うものの、偏屈な大人に「お風呂に入りなさい」などという事が言える人間はいない。いても、そんなアドバイスを聞くようなヒトではない。アドバイスを聞くような人だったらとっくにそうしてる。
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しばらくすると、
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近所で、その母の方を最近見かけなくなったという話が出ていたそうだ。どうしているのか。しかし息子は聞いても答えない。思いあまって、警察に相談したそうだ。警察は中には入れないが、警備を理由に訪問することはできる。しかし、息子が「母は元気だ」と言えば、それまでだ。そのほか区の福祉にも相談したらしい。相談員が訪れても、息子が「母は元気だ」と言えば、それまでなのである。
何度も訪問し、息子の状態が精神的にも明らかにおかしいということが分かっても、本人が拒否すれば、強制捜査などはできない。しかし、いろいろな手続きをして、結局は警察に踏み込んでもらったそうだ。すると、家の奥で瀕死の状態の母親が発見された。この時、彼女が亡くなっていたら、これと同じニュースになっていただろう。彼女は病院に入院し、ほどなく亡くなった。息子も同時に、M病院に入れられたとのことだった。M病院といえば、精神科で有名な所だ。以来、3、4年になるだろうか、隣家は空き家のままだ。そんなワケで家はボロボロで、ゴキブリやら鼠やら、酷い状態だろうと想像できるが、土地は資産としては相当だろう。
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隣家の場合、この近所に昔ながらのコミュニティがあり、近所付き合いがあったということで発見された。しかしそんなものが無いところはたくさんある。よしんばあったとしても、「最近、見かけない」「息子は頭がヘン」位で、近所同士、「通報」しても良いものだろうか。そして個人の家を警察が簡単に強制捜査しても良いだろうか。
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実は、我が家にも、おまわりさんが来たことがある。何も理由は無くても、近辺の様子を聞きに回っているのだとか。何か気づいたことは無いかなどと。こういう事をしている所は多いのではと思う。こういうのを蓄積していくと、どの家にどんな人がいるか、薄々分かる。こういうのを聞いていくと、「あの家はおかしい」という事を教えてくれる人がいたりする。だけど、近所の話を総合すると、実際はその家が一番おかしかったりする。。。などと。なので、隣家の場合も、交番はこの事態を把握していたかもしれないが、それ以上の具体的な行動には出られない。
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この悲劇は「例外」だと思っている。
もし、この「例外」を無くそうと思ったら、住民漏れなく、全員のプライバシーに介入してゆく体制をとらなくてはならない。なぜなら、「例外」になる人たちは通常のサポートを拒否する人たちなのだ。拒否する人たちをスクリーニングしようとすると、「全員」への強制しかできなくなる。
私たちは、そんな社会を望んでいるだろうか。
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この例がどのような背景を持つのかは分からないが、隣家のような例は数多くあるはずだ。この問題、餓死イコールお金 としか考えないうちは、解決しないだろう。
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(だけど、もちろん、民生委員も福祉の担当者も現場を見てればそれを知ってるだろうから。。。彼らが知らないってことを批判してるんじゃなく、世間の批判を批判してるんだけどね)
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 5日午前10時35分頃、札幌市東区北7東13、2階建ての民家1階の寝室で、住人の女性(91)とみられる高齢女性が死亡しているのを札幌東署員が見つけた。
 同居の三女(59)とみられる女性も別の部屋で衰弱した状態で倒れており、病院に搬送されたが、命に別条はないという。同署は、高齢女性が死亡した経緯を調べるとともに、司法解剖して死因を特定する。
 発表によると、回覧板が玄関ドアの郵便受けに残されたままになっているのを不審に思った近所の住民が民生委員に相談した。民生委員が東区役所に連絡し、区職員と訪れたところ応答がなく、家の鍵も施錠されていたため、110番した。
 札幌東署員が家に入ったところ、高齢女性は寝室のベッド脇の床にパジャマ姿で倒れていた。三女とみられる女性は1階居間のソファでぐったりしていた。病院に運ばれる際、同署員に対し「母親とは約3週間前から顔をあわせていない。死んだかもしれないと思った。自分も死んでもいいと考え、2週間前から水しか飲んでいない。お金も食べ物もなかった」と話したという。
 同署幹部によると、民家では、認知症の母親と三女の2人暮らし。三女は、数年前に仕事を辞めていた。母親は年金を受給していたが、家には数十円しかなく、冷蔵庫の中は空だった。この家に通っていた民生委員の男性(63)は「おばあちゃんとは面識がなかった。娘さんは気さくな人で、仕事を辞めて介護を頑張っていた」と話した。

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