« 2013年5月 | トップページ | 2013年7月 »

2013年6月

2013年6月23日 (日)

接待の雑談

話し方マニュアル本大ヒットの陰に「しゃべらぬ若者」の存在

http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=125&from=diary&id=2477532 

.

接待での雑談ほど、難しいものは無いだろう。

すずめのような職業だと、接待するという局面は無かったけれど、

時折、ものすごくうまい人がいて、勉強になった。

.

そもそも、接待での雑談、中身があったりすると、微妙だったりする。

お互い小さな空砲を打って相手とキャッチボールするワケだ。

しかも相手は千差万別。

.

以前、つき合ってた会社に、うまい人がいた。

彼の電話の応答その他、側で聞くたびに、感嘆してた。

「うまいねえ。恐れ入っちゃうわ。独立して詐欺師でもやったら成功するんじゃないの?」

と。。。誤解の無いよう。これは、このシチュエーションでは褒め言葉。

彼のそういう応対は他の人も学べば勉強になると思って、わざとピックアップしていた。

.

たとえば、

お正月にタオルを持って年始の挨拶をしに来る業者がいる。

今時、タオル。

相手はショボいおじさん。

それを受け取った彼は、

「ああ、タオル、助かります。給湯室で皆で使えますから。」

酒屋風カレンダーには

「ああ、御社のは良いですね。こういうのが便利なんですよね。」

.

すごい!

段ボールいっぱいのタオルが溜まってて、普通は言えないという以前に、思いつかない。

「助かります」っていうボキャブラリーがすごい。

もちろん、一事が万事。相手が上でも下でも、媚びることなく、自然に、堂々と、瞬時に。

.

才能もあるんだろうが、こういうのは学べないとできない。

昨今、職場でこういう他の人の会話を聞く事も無い。

新人ができないのではなく、学ぶ環境を作って無いからではないだろうか。

.

っていう所で思ったんだけど、

キャバクラって、そーゆー訓練をした女の子たちがいるらしい。

.

で、

接待クラブ

みたいなのがあっても良いんじゃないだろうか。

おじさんが、おじさんのお客を接待する。

うまいヒトは、セッタクラ嬢ならぬ、

セッタクラ紳士?に格上げ。

タダで飲める。

異業種交流にもなる。

新人はココで勉強すれば、

りっぱな営業マンになれる。

プラス、異業種交流の人脈も得られて、失業した時のコネもできる。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2013年6月 7日 (金)

エスカレータ 片側歩行用

エスカレーターで歩行 対応は
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=2&from=diary&id=2457056
この議論、
具体例無視で、十把一絡げ対応が先ずありきの発想だから、答えが見えて来ないのでは。
.
まず、なぜ、危険なのかということ。
小さい子供や高齢者がいるから。。。
ということだけど、実際、朝のラッシュ時の小さい子供や高齢者の割合はものすごーーっく、少ない。
危険を回避するためだったら、彼らへのエレベータの優先を勧めることができる。特に朝、通学する子には、ルートなど教えてるはずなので、その中にエレベータを入れて教えることもできるだろう。
高齢者へのエレベータ誘導は、まず、サインを分かり易くすること。今の多くの駅での誘導では、エレベータによる導線はオマケ。本当はホームのどの位置に乗れば、自然にエレベータへのアクセスが確保されるようなルートがあるはず。
こういう事を親切に案内するコンシェルジュのような役割が、改札の駅員さんなんかにあっても良い。
.
エスカレーターで歩いてはいけないというのを、もし、本当に徹底させてしまったら、輸送量に問題が出る駅は相当出るだろう。上りと下り、2本の車両が二本ずつ2分間隔で到着する駅ホーム。しかも、ユニバーサルデザイン化ということで、広かった階段をつぶしてエスカレータを作ってる所も少なく無い。階段は狭くなり、ホームも部分的に狭い場所ができている駅もある。こういう所で、ホームに人が溢れたらめちゃくちゃ危険だ。階段から落ちる。。ぐらいの怪我じゃ無い。ラッシュ時にホームから人が溢れて転落したら、恐ろしいことになるだろう。
.
もう一つある。
都心に最近多い、距離の長いエスカレータ。これで歩いてはいけないとすると、急ぐなら、エレベータの方が早くなってしまう。すると、できるだけ車椅子や高齢者、弱者のために確保しておきたいエスカレータに、急ぐ人たちが来てしまう。
ただし、これはラッシュ時の話。
混雑しない駅、エスカレータの輸送量が充分な駅は、歩行禁止にしても良いかもしれない。
.
.
でも、同様の理由(高齢者や子供はエレベータに誘導できる)から、歩行禁止にしなくても良い。
とは言うものの、結局、いろんな駅で違い、時間帯によって禁止など、利用者にとってはワケが分からない。。。ということになる。どちらか一つに決めなくてはならない。
原則論では、弱い人、高齢者や子供の安全確保が第一。
とは言っても、何万人もの群衆のマネジメントをしなければ、群衆という現象そのものが、凶器になってしまう。
.
なので、もし、シンプルにするなら、
片側歩行可能というのはかなり合理的ではないか。
高齢者や小さな子供の安全確保という意味でも。
-----
以下、抜粋
駅のエスカレーターで片側を開けて、急ぐ人が歩く--。都市部で常識化しているこの慣行について、エスカレーター業者などが「事故のもととなり危険」として、止まって乗るよう呼び掛けている。業者の調査によると、高齢者の約3割が、エスカレーターでの転倒に不安を感じ、歩行をやめてほしいと考えていた。だが、片側開けをマナーと考える乗客も多く、3大都市圏で運行するJRと主な私鉄・地下鉄23社に「片側開け」への対応を尋ねたところ、歩かないよう明確に呼び掛けている社は11社にとどまった。
 6日朝の都営地下鉄大江戸線新宿駅ホーム。改札口につながるエスカレーターの右側のレーンを、大勢の客が歩いて上り下りする一方、左側は立ち止まって乗る人が長蛇の列を作っていた。都市部でよく見られる光景だ。
 だが、エスカレーターは本来、歩く前提で設計されていない。国土交通省によると、標準的なエスカレーターの傾斜は30度で、駅構内の階段(26~27度)より急。ステップの高さも20センチ程度と、階段(15~16.5センチ)より高い。
 ビル施設の管理業務を手がける三菱電機ビルテクノサービスが昨年、全国の60~84歳の男女を対象にエスカレーターの乗り方に関するインターネット調査で「安心してエスカレーターを使うための要望」を尋ねたところ、「エスカレーターでの歩行を禁止してほしい」の回答が33%と最多だった。同社は「高齢化社会に合った安全な利用法を伝える必要がある」と話す。日本エレベーター協会は「歩いたり、走ったりしないで」と注意喚起する。
 しかし、多くの鉄道会社は「手すりを持って」(南海電鉄)など、止まって乗るよう遠回しに呼び掛けるにとどめている。
 かつては鉄道会社自身、積極的に片側開けを勧めていた。1967(昭和42)年、阪急電鉄が梅田駅(大阪市北区)にエスカレーターを設置した際「歩いて上り下りする方のために左側をお開けください」と放送したのが広がったという。そのためか、利用客の多くは片側開けを「マナー」と考えている。鉄道の相互乗り入れなどに伴い長いエスカレーターが増え「急ぐ客は長い間立ったまま乗っていられない」(鉄道会社関係者)という事情もあるようだ。
    ×    
 しかし、東京都身体障害者団体連合会の宮沢勇会長は「エスカレーター歩きが、高齢者や障害者など多くの交通弱者を危険にさらしていることに気付いて」と、鉄道会社の積極的な取り組みを求めている。【太田圭介、中村かさね】
    ×    
 エスカレーターの「片側歩き」に関するご意見をお待ちしています。メールの件名を「エスカレーター」として、kurashi@mainichi.co.jpへ。

| | コメント (2) | トラックバック (0)

2013年6月 2日 (日)

ラファエロの父と反射光

ラファエロ展、面白かった。

いろんな切り口があると思うけど、

すずめ的には

かねてから、ビザンチンからルネッサンス、この時代について、ちょい、興味を持っていた要素。

.

遠近法

反射光

.

この二つなんだけど、ちょい、面白い部分、見つけた。

すずめ的には発見。

.

Father

これは、ラフェロの父の作品とされるキリスト。

.

この、足、太腿の部分、見て欲しい。

右の太腿の下、反射光が入ってる。

.

美大の予備校で、最初に習うテクニックがある。

それが反射光。

.

以前も日記に書いたんだけど。。。

円柱を描く時、普通にグラデーションをつけて、こうする。

.

Dench1_3

まあ、円柱に見えるよね。

ところが。。。この一番暗い部分、そこには円柱の後ろの空間の光を拾った反射光があると言う。

その反射光を入れると、こうなる。

.

Dench2_3

ね。

うまいっ

って感じになるでしょ。

上の円柱よりか、断然リアル。

.

それを描き方のオキテ風に言えば

「一番暗い部分の隣に明るい部分を描くべし」

っとなる。

.

だけど、この反射光、本当に存在するのか。

後ろの空間は本当に反射光を作るほど明るいか。

.

ぶっちゃけた話、

写真に撮った時、この反射光はいつもある訳ではない。

無い事の方が多い。

そこで、静物写真を撮るカメラマンは画面に入らないように後ろから小さな光を当てたり、

乱反射するようにコントロールしたり、ずばり、反射光を入れるために後ろに鏡で光を当てたりする。

.

要するに、私たちがリアルだと感じる反射光の存在は、かなり概念的なもので、もしかして現実には無いもの、普通の人はほとんど見た事が無いものだとも言える。

.

見た事が無いはずなのに、リアルってのも不思議でしょうがないんだけど。。。まあ、それはおいておいて。

.

この反射光、ビザンチン美術の絵画には無い。

だけど、たとえば、ダビンチのほつれ髪の女にはある。

Hotu

向かって左側の頬、本当は暗くなるはず。だけど、ほんのり、明るい。

これは肩の下か後ろの光を反射したもの。

この作品ではかなり分かり易い。意図的に入れたんだなと思える。

.

でも、明確じゃ無いものが多いんだけど、

いくつかこの時代のものに、あれっ?っていうのがある。

暗い空間の中にある立体物の最も暗い側の輪郭は、黒い輪郭線で描くより、白っぽい輪郭線にした方が際立たせ易い。なので、いろいろ、これか〜?って思うものがあるものの、

この反射光の存在を本当に意識的に描いてるかというと、ちょい、疑問なものもある。

.

ところが!

このラファエロの父 

の大腿の反射光、これはばっちり!って感じ。

ここだけじゃなく、左(向かって右)の腰の輪郭。これもばっちり。

それだけじゃない。

このおとーさん、すごい。

膝から上は反射光が入っていて、

膝から下には入っていない。

.

理屈から考えれば、膝下にも反射光はあっても不思議じゃない。だけど、こっちを無くすることによって、曲がった膝から上と下、距離感(この場合奥行き)が見える。これはすごいテクニックだ。

.

この反射光をキーワードに今回の展覧会のラファエロを見てみよう。

かすかにあるものもあるけれど、

概ね、彼の作品には出て来ない。

.

一カ所、見つけた。

Ringo

持っているリンゴの右側の輪郭。

Ringo2_2

印刷画像だと グラデーションが死んでしまってて、うっすらとした明るい輪郭としか見えないけど、実際にはもっと、まさに反射光のように描かれている。

17a

こっちの絵の暗い方の輪郭と比べると分かる。

こっちの絵の輪郭には反射光は無い。

(この作品はラファエロ、17歳の時のもの。さすが巨匠)

.

さて、もう一度、おとーさんの作品を見てみよう。

死んでるキリストとは言え、その肉体は木の彫り物のようじゃないだろうか。

Father_2

存在感はあるけど、死にたて?の人間の質感じゃ無い。

反射光のテクニックは、何にでも使えるワケじゃなく、過度に使うと、こうなる。

.

では、ラファエロは反射光テクニックを知っていたんだろうか。

リンゴの光を見ると知ってたように見える。

.

だけど、

17歳の作品、特に天使の顔、ここでは知らなかったかのように見える。

.

時代的には父は知っていた。

だから息子である彼がそれを習うチャンスが無かったワケ無いだろう。(実際にはラファエロの父は彼が11歳の時に亡くなっており、直接習えなかったかもしれないが、ラファエロは父の工房の関係者に預けられてるんだから、テクニック的には共有できてるはず。。。少なくとも大人になるまでの間に学べたろう)

.

だけどね、

反射光テクニックを知らなかったコが、

それを知ったら、

「おっ」って使いたくなっちゃうはず。

おとーさんのこのキリストの大腿は、まさにソレっぽい。

反射光の入れ方が得意げ。ちょい、オーバーコンシャス。

やりすぎて、木彫りの仏像風キリストさまになっちゃったくらい。

.

17歳のラファエロ作品にはこれが全くない。

彼には反射光テクニックに出会うチャンスは無かったのか。

あったとしたら、大喜びで使っちゃう。。っていう作品は無かったのか。

今回の展覧会で見えたのは、このリンゴ位なんだけどね。

.

さて、

じゃあ、この反射光テクニック、本当にすごいモンだろうか。

Taiko

今回の目玉

大公の聖母子

これよりもびっくりなのは、

こっち。

このリアリティ。

無口な女

Muku1

この服なんかのリアリティ、すごいよね。

だけど、ここには反射光は無い。

Muku2_2

柔らかい布や

しっとり濡れたような肌の質感には、反射光は邪魔なのかもしれない。

ルネッサンスの巨匠の技には反射光テクニックなんていう小ワザは不要。

.

ってワケでラファエロとーさんの反射光、コレはちょい、発見だった今回の展覧会。

ビザンチンには無い。

ルネッサンス前辺りから見え始めた反射光テクニック、

じゃあ、最初に使ったのは誰か?

もしかして、それが分かるかもしれない。

コネタのようで、実はちょい、奥が深い。

なぜなら、見えないものでも描いてやるぞという、

方法論的なワザ。

絵画のテクニックを抽象的な部分まで追い込んだリアリズム。

それが、いつ、生まれ、

紛れ込んで行ったのか。

その瞬間って、この頃、

まさに、ラファエロとーさんの頃だったのかもしれない。

な〜んていう

すずめ的発見。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

高校生の特許

電話出るとTV消音 18歳が特許

http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=2&from=diary&id=2448232

.

こういうアプローチ、とっても良いね。

本当は、特許の手続き(おそらく実用新案)こういうのは、とっても面倒。

それを自分でやりとげたとしたら、きっと良い勉強だったはず。

.

これは、とっても良いアイデアだと思う。

テレビへのその手の機能付加の案は、おそらくすでに企業は持ってたと思うけど、

高校生の特許となれば、話題性も高いだろうと思う。

.

だがしかし。。。

現実はそんなに甘く無い。

この特許、どの部分で取ったかということになる。

「電話が鳴るとテレビの音が小さくなる」この概念だけを、メカニックとは無関係に押さえられれば良い。

だけど、それはさすがに無理だったろう。

この記事にもテレビの音が小さくなるっていうような機能を工作してるけど、

もし、そのメカニックの部分での特許だったら。。。

本当に企業がこのアイデアを使おうと思ったら、簡単に無視できる。

.

テレビの周囲の音を拾わせて、音声認識で。。。な~んてのはチップなんかを変えて。。って方法でできるだろう。高校生の工作でできる範囲のメカニックでは逆にお金がかかりそう。

この手の製品がらみの特許、もう、素人が手に負える範囲に無い。

いかに競合を出し抜くか。。って使い方されちゃってるので、

押さえどころも複雑怪奇。

.

でも、

高校生がそれに挑戦するってのは、

やっぱり、良いね。

.

-----

抜粋引用

<特許>電話出るとTV消音 愛知の大学生、中2の時に発明

電話の受話器を上げるとテレビの音が自動的に消え、静かな環境で通話できる装置で、発明当時は中学2年生。

(中略)

 装置は、テレビのリモコンに内蔵されている消音回路を活用し、電話の受話器の動きと連動。電話機に消音回路や赤外線発光ダイオードのアンテナ、マイクロスイッチなどを取り付け、受話器が置かれている時はスイッチが切れ、消音装置は作動しないようにした。受話器を上げるとスイッチが入り、消音機能が発信されてテレビの音が消える仕組みだ。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

すずめ経済:リンゴノミクス

世の中の経済、誰が決めてるか、ご存知だろうか。

実は経済の神様ってのがおわしマシて、彼が決めてるのだ。とは言うものの、昨今の経済はフクザツなので、一人じゃ大変。なので手下の魔女に手伝わせてる。

さて、これはその魔女のハナシ。

.

魔女の名前はモイラ。そう、運命の女神だ。何しろお金がすべてって時代、運命の女神が経済の神様の下請けをしてるってのは分かるハナシだろう。

モイラは言うまでも無く、絶世の美女。でもって、永遠に25歳。お肌の曲がり角の手前に右足、向こうに左足を突っ込んでる。彼女の家は、モーニングバレーっていうちょいおしゃれなネーミングの街にある。商店街の中程にある細い階段を上っていくと、大きなテーブルがあって。。。いわゆるカフェのような営業形態だ。ここで日本中のニンゲンの命より大切なお金にまつわる運命を全部決めちゃってるんだから、恐ろしい話だ。

.

さて、今日もモイラは仕事に励んでる。せっかくなので、彼女の仕事の内容を紹介しよう。

彼女の家の棚にはたくさんのリンゴが並べられてる。色とりどり。これが彼女の商売道具。

このリンゴで彼女はニンゲンの運命を決めて行くのだ。

.

今やってるのは、中下家。

4人家族 夫婦と女の子と男の子の家族。

ここんちのリンゴ経済。

リンゴ経済って言うのは、神様用語で、人がどれだけお買い物をしちゃう運命にあるか、その予算をリンゴっていう単位で決めようってもの。

.

「そうね、先ず、車。」

中下夫妻は1990年に結婚、1年後に男の子、その2年後に女の子が生まれる。二人ともそれほど出来がいいわけじゃないけど、大学全入時代、私立4年大学に行く。この家族の25年間の車の代金。

二人は最初の男の子が生まれた時点で、中古のマーチを購入 100万、これに2年乗る。。。けど、車検が大変なのと、子供が二人ってことで、カローラの新車を購入。300万。これには5年乗って、その後、子供達も大きくなったし、アウトドアでも。。っと、セレナを購入。カローラを下取りしてもらって300万。これには10年乗って、また、プリウス300万を購入。

ってコトで、中下家は25年の間に1000万を使ってる。ってコトは、1年で40万。

モイラは中下家の籠にリンゴ4個を入れる。

.

あ、何で25年かというと、魔女のモイラが永遠の25歳の魔女だってコトに起因する。偶然、これは、夫婦が子供を育てて、大学を卒業させるっていう年数と同じだ。よくワンジェネレーション30年って言うけど、子供が大学を出ると、そこから先の消費生活は変わってしまう。それまでの買い物は、家も車も、家電も、みんな必要性があったはず。だけど、子供達が巣だってしまうと、消費の要因にはそういう必要性以外からの要素が浮上してくる。全くロジックが違うってコトで、お肌の曲がり角、じゃなく、消費の曲がり角25年。それを目安にする。

.

さて、次。

携帯電話。

中下夫婦が結婚した90年代には携帯電話、無かったので、これは15年で計算する。

子供がいない間は、二人とも一ヶ月5000円、年間10000円 子供が大きくなってからの10年は、家族4人がスマホ。月々5000円x4 年間25万 15年で1年平均、ざっと20万

リンゴ2個分。

.

っと、そこまで計算した時、細い階段をのぼる足音がして。。。。経済の神様がやってきた。

この神様、神様なのに、なぜか魔女に頭が上がらない。何か弱みでも握られてるのかもしれない。

「あら、いらっしゃい。」

きわめてラフなモイラの口調に対して、

「あ、どうも。」

と、緊張感を漂わせたトーンで答える神様。

「す、座って良いでしょうか?」

経済の神様って、意外に謙虚である。

その問いに答える代わりに、モイラは言う。

「ちょうど良かったわ。ねえ、これ、計算しといて。」

「な、何で僕が。。。」

「だって、私、忙しいんですもん。」

この会話にどういうロジックがあるか不明だが、神様はしぶしぶテーブルにつき、電卓を出した。

.

「えーっと、食費は、リンゴ6個。」

さすが、経済の神様は計算が速い。だけど魔女は疑い深い。

「本当?ちゃんと計算してる?」

「えーっと、子供のいない頃は4万。年間50万。大きくなると60万ちょっと。だからリンゴ6個だよ。」

「意外に奥さん、しっかりしてるのね。」

「教育費がかさむからね。」

いつのまにか、魔女の注意はリンゴにはなく、テレビでやってる韓流ドラマに釘付けになっている。

「じゃ、次、教育費もお願い。」

「な、何で僕が。。。」

「だって、私、忙しいんですもん。」

またしてもこのロジックがすんなり通ってしまったというのはともかく、神様はネット検索を始める。

.

生命保険会社だの、いろんな所が公開してるが、高校まで公立だと、約500万。大学が私立だと4年間で530万。これを二人分、25年で割ると、82万。

「はい、リンゴ8個分」

モイラはもう、テレビの韓流ドラマに釘付けになっている。かなり上の空。

「住宅費も出した?」

神様はまた素直に電卓に向かう。

中下家は賃貸派。子供が生まれる前から5年間、家賃7万のアパートに住み、その後、3LDK、家賃12万に引っ越す。これを25年で割る。

「うわあ。リンゴ13個。」

「次、家電は?」

韓流ドラマもクライマックス。モイラの注意はほとんどリンゴには向けられていない。もちろん、神様なんて眼中には無い。

25年間に中下家はエアコン5台。冷蔵庫2台、テレビ4台、洗濯機3台。。。。っと、ざっと120万円分購入している。これに家具。全部入れて250万

「りんご1個かな」

「ありがとう。さすが神様」

韓流ドラマが終わり、余韻にひたりながらモイラは答える。実は上の空なんだが、神様は気を良くして、つけくわえる。

「レジャー費とか洋服とか、計算する?」

「めんどくさいからいいわ。どうせ中下さんちだとリンゴ1個もいらないでしょ。」

たしかに中下家はそんなにおしゃれじゃないので、衣服費はいつもユニクロ。どっちみち、こういうのは、余裕のある家はゴージャスだし、余裕が泣けりゃ質素。家計への脅迫的な圧迫は無い。

なので、まあ、無視でも良いんだろう。

ところで、ついでにもうちょっと、このお仕事について補足しておこう。リンゴ経済、おされ〜な言い方で言えば、リンゴノミクスにはたとえば税金とか細かい予算は入ってこない。もともと多くの人間が出さざるをえないようなものの個人差に関する指標なのだ。経済の神様は、これを最後の審判の時に上司に提出しなきゃいけない。この時、リンゴノミクスがどんな風に使われるかは分からないが、とにかく、これが経済の神様の仕事なのである。

.

ざっとまとめると

.

食費 6

携帯電話 2

車 4

住居 13

教育 8

家電 家具 1

.

合計34個のリンゴ。

これが、中下家の欲望の資金。

.

「コーヒー入れましょうか?」

モイラは25歳の見事なプロポーションを誇示しながら、優雅な身のこなしでキッチンに向かう。

「さすが、経済の神様って計算が速いわ〜」

神様はすっかり気を良くして鼻の下をのばしている。

「じゃあ、次の中田さん、お願いね。」

神様って、褒められると何でもやるモノだ。だからお賽銭挙げる時とかも、一応褒めてからお願いすると良いかもしれない。

.

ってワケで経済の神様、中田家のデータについて電卓をはじき始めた。

中下さんよりか、ちょい年収は高いかな。でも家族構成は同じ。

.

食費 6

携帯電話 2

車 4

住居 16

教育 9

家電 家具 2

リンゴ39個

.

ざっと、こんな感じ。

まず、ちょい、違うのが、ここんちの子たちは高校から私立。でも、それは大した違いじゃない。

大きく違うのが、家だ。中田夫婦は結婚当時は2LDKの賃貸マンション。家賃は10万。子供が1歳の時、マンションを購入した。3000万だが、頭金、1000万。ここに5年住み、この間に30年ローンで組んだ返済額が年、100万で150万支払った。でも元金はほとんど減っていない。結局2000万で売却し、5000万の一戸建てを購入。3000万のローンを組んだ。(これはローンなので、完済するとなると利子がついて倍額になる)これを25年で計算するのはアンフェアなので、神様の外見的年齢、50歳 ーー 50年で計算することにする。一戸建て購入当時35歳の中田夫婦にとっては、85歳までの住処ということだし。

ざっと計算すると、50年リンゴ16個分。

で、家具や家電は、この引っ越しと住居水準に伴って購入するんで、ちょい、高くなる。

.

「あら、意外ね。」

モイラは胸にかけたゴージャスなペンダントをもてあそびながら、言う。このペンダントは、トロイア戦争の前、友達にリンゴを1個横流しするお礼に。。。というか交換条件として、もらったものだ。1個だから10万程度の品なのに、この後、リンゴを巡って戦争にまでなったらしい。ってのはともかく。

「中下さんより、中田さんの方が断然リッチに見えてたけど、そうでも無いのね。」

「そういえばそうだよなあ。」

経済の神様の脳裏に色っぽい中田さんの妻の姿がよぎる。

モイラはテーブルの脇に転がってる水晶玉に手を伸ばした。小指の先でちょん、っとつつく。水晶玉の色が変わって、中田さんの家が映し出された。

「このソファ、良いわよねえ。うちも欲しいな。」

そう言いながら、経済の神様の方に流し目を送る。神様の表情がなぜか恐怖に変わった。

「あ、ああ、でも、センス悪くないかな。」

「そうねえ、もうちょっと明るい色の方が良いかしらね。」

神様の表情にほっとしたものが見える。

水晶玉には、中田さんの家が映し出されていた。個人情報保護法だの何だの言ってるが、魔女なら誰でも水晶玉の一つや二つ持っている。他所の家を覗くぐらい朝飯前。こうやって見られても恥ずかしく無いように、家の中は常に整理整頓を心がけたいモノ。。。っというのはともかく、中田さんの一戸建ては4LDK。ちょっと郊外だが、二人の子供達もそれぞれの部屋を持ち、リビングも広い。中下さんの文化住宅的賃貸マンションとはかなりの差がある。

「でも、まあ、いいわ。じゃあ、つぎ、中上さんの計算、やってくれるわよね。」

「は、はい。」

.

雰囲気的に二人の関係性において、魔女が優位なのが見て取れる。この原因は何なのか分からないが、まあ、それはおいておくとして。中上家のリンゴノミクスを見てみよう。

.

食費 7

携帯電話 2

車 5

住居 18

教育 10

家電 家具 2

リンゴ44個

.

中上家も同じ家族構成。妻は近所でも評判の美人で、か〜なりリッチっていうイメージの家族である。妻の美人度を根拠に、自分たちは中流じゃなく上流だと思ってるフシもある。ただしこの根拠、夫の頭部の残念さが否定的な要素を加えていることを付記しておきたい。

子供達は中高一貫私立に通い、車は外車(ただし低価格仕様車)。テーブルに並べられるメニューは他家族とそれほど差は無いが、購入場所が高級スーパーなので、かなり高い。

さて、この家族に自分たちは上流と勘違いさせる大きな根拠になっているのが、住居である。

二人は両家の支援のもと、結婚時に3000万のマンションを購入。5年後に2500万で売却して、5000万のマンションに引っ越す。ローンの年間支払額100万。また5年後に4500万で売却し、郊外に6000万の一戸建てを購入。ローンは1000万。損得で言えば50年で9000万。

モイラの水晶玉には中上家のリビングが映っている。

「やっぱり、このソファ、いいわあ。」

神様の顔色が変わる。

「でも、ここにソファ、置くと狭くなるよ。」

っと、言ってしまってから、「しまった」という表情になった。

「そうよねえ。ここ、狭いから。もっと広い所が良いわよねえ。」

モイラは神様に流し目を送る。

「さ、さてと。」

神様は電卓を置いて、立ち上がった。

「あら、もう、帰るの?」

「あ、ちょっと用事を思い出した。今日のリンゴ、黒猫便に出しておこうか?」

声が震えている。

「いいわ。重いし。あとで取りに来てもらうわ。」

モイラは平然と答えた。

どの籠にも40個ほどのリンゴが入っている。3つ合わせると100個を超える。今日の3人はこういう量だったが、昨日の3人、下田さんたちのはもっと軽かった。だが、多くの家がおよそ40個弱。都会人は車が無いので、もっと少なかったりする。

リッチかビンボーか、概ね住居費のリンゴで決まるが、でも、その差、実はそれほど大きく無い。中田さんと中上さんの差は2個。これは携帯電話のリンゴと同じ数だ。でもって、リッチそうに見える家とそうでない家との差は、たかだかリンゴ10個。元値は年間100万。もちろん、これは年収とは関係無い。12万の賃貸マンションの生活と郊外の一戸建てのゴージャス生活の維持費とでは大きく違うし。ただ人がリッチに見えるかビンボーに見えるかのちょっとした指標であり、本人達の欲望の係数でもある。ってワケで、これが最後の審判の時の参考資料になるワケだ。

.

細い階段を経済の神様が降りていく音がする。

明日もまた、こんな風にヒトの運命は決められてゆく。かなり大雑把だが、人生なんてそんなモン。

.

モイラは傍らにあった、通販カタログのソファのページをめくる。

さっきの中田さんちのリビングにあったソファが出てる。

「なんだ。意外に安いじゃん。リンゴ2個は多かったんじゃないの?」

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2013年5月 | トップページ | 2013年7月 »