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2013年2月12日 (火)

デッサンの方法論/脳を騙す円柱 その4

さて、昨日に続いて、円柱をテーマに。

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では次。

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もうちょっと高度なデッサンの技量に迫ってみよう。

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量感

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カタカナではボリューム

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よく、高校のころ、

石膏像に抱きついてみなさい

と言われた。

実際にだきつくと、石膏像の胸板の厚みに驚く。

実はモリエールの胸板は薄い方だが、

首と顎 ネクタイの距離感がかなりある。

真正面からは気がつかないが。

そして、それは写真からも分からない。

だけど、石膏デッサンではこれを表現しなければならない。それが「量感」

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それをどう、表現していくか。

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先ず、円柱で考えてみよう。

円柱の中で

一番、観察者に近いのは、円の突端。

そして、上面の距離感を出すことによって、その大きさが表現できる。

距離感をどう、出すか。その具体的な方向について説明したい。

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先ず、鉛筆の使い方のテクニック。

面の方向に沿って鉛筆を動かす

というのがある。

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下のサンプルでは、CGで適当に作った鉛筆跡をつけている。

上面は向こうへ走るように、パースをつけて。

局面は縦方向の鉛筆跡。これは面の方向に沿って鉛筆を動かすということだ。

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(本当は鉛筆でちゃんと描けばいいんだけどね。スキャンしたりとか、イロイロ面倒なのでご勘弁)

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というテクニックを使ったデッサンのモデル。

Dench3

ここで、どんな工夫がされているか。

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それぞれの面に対してその面の確度にそった鉛筆跡(この場合スクラッチのような線)を入れている。

上の面は水平に、且つ、奥行きが出るようにその線にパースもつけている。

側面は縦に。

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これに加えて影を表現する。

(実際の鉛筆の線だと、このようにぼけた暗みをグレイで乗せるのではなく、線の密度や濃さでも調整する)

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更に、距離感の表現

円柱で観察者に一番近いのは上面の円の手前の端

ここのコントラストを強くして、

遠い部分のコントラストを弱くしている。

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(これは画像処理なのでわざとらしいが、鉛筆だともっと複雑に線をコントロールするので、自然にできるだろう。)

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ね。

単なる立体でも、

立体の持つ距離感が全然違うでしょ。

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上のを単なるグラデーションで描いたものと比較して欲しい。

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(昨日のと同じもの)

もう一度、3ついっぺんに、出してみる。

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ディスプレイの中での浮かび上がり方が

ちょっと違うよね。

.Dench1_3. .Dench2_3. .Dench3_2

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画像処理で作った単なるグラデーションによるもの

画像処理で鉛筆のタッチを再現したもの、

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同じような陰でも、

「立体感/重み」が違う。

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モリエールの写真と、

モリエールの石膏デッサン。

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どっちの方がリアルか。

デッサンの方がリアルだよね。

円柱に比べて、モリエールははるかに高度に

随所にこういうテクニックが使われているから。

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リアルだよねって、言われても...

どう、リアルなんだか、

って突っ込みもあるかもしれない。

たとえばどう、リアルさが違うかというと、

下の像はモリエールの「大きさ」が表現されている。

モリエールとかの石膏像は、

ユージンが出してる、ミニチュア石膏像っていうガチャポンで出てくるフィギュアがあって、それがネットで画像検索するとイロイロ出てくる。実寸で6センチ位?のもの。

たとえば、コレ、フィギュアの「写真」ね。

http://www.butsuyoku.net/shokugan/dessin/images/06.jpg 

でも、「本物の」

石膏像は高さ、1メートル位ある。

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Dmo1a_2

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De3_2

上の写真は、もしかしてフィギュア?

って思うかもだけど、

下のデッサンはまさか、6センチの物を描いたとは思えないよね。

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ここで使った円柱でのテクニックは、

見ての通り、最も近い円柱の上部の角のコントラストを強くし、

遠い部分のコントラストを甘くしている。

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二つ前の日記で紹介した

「前に来るものは切ってはいけない」

(画面からはみ出させてはいけない)

/

というのは、これが理由だと言えるだろう。

近い部分に、何らかの大きなコントラストをつけてやれば、手前に迫ってくる。最も大きなコントラストは背景と対象とのコントラストだ。しかし、それを画面の外へ出してしまっては、つけられない。

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だから、手前に来るものは切ってはいけない。

そういう理屈になる。

そういう意味でも「リアル」だ。

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