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2013年2月12日 (火)

デッサンの方法論/見破る力 その5

さて、あなたも含めて、

人の目というのは、驚く程鋭い。

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上のようなすずめが言葉で書けちゃうようなテクニックで

写真より立体的だなんて、簡単に脳は騙されてくれるワケだが。

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実は、本当は侮れない。

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たとえば、モリエールの頬に陰をつけてみる。

その方が良いオトコかもって思ったり?

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まず、コレが原画

Deusox

でもって、向かって右の目の右に影をつけてみる。

もし、彼の顔がもう少し面長だったら、こんな感じ?

ね、本当はここに影があってもおかしくないはずの場所。

Deuso

だけど、これ、影じゃなくて、汚れに見えない?

この影、画像処理で入れてるんだけど、そこそこ上手に入ってるはず。

だけど、一目でおかしいと分かっちゃう。

汚れてるように見えるでしょ。

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本当は複雑に分析してみれば、

ここの陰がこんな感じになるとモリエールの立体構造が説明できなくなる。

だから立体を形作る「陰」ではなく、「痣」(もしくはシミや汚れ)に見えてしまうのだ。モリエールのような複雑な石膏でも、ロジックに合ない陰はおかしいと見破る。

意外に賢い、人の脳。

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デッサンの修行は、本当に興味深い。

そこに存在するものの、

いわば「存在」だけを表現していく。

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存在を表現する為には、光に依存してはいけない。

陰では「立体」を表現できない。

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デッサンで先ず、初心者に言われることは、

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輪郭線を追ってはいけない

光を追ってはいけない

私たちはデッサンをやっていると、光に関しては容易に気がつく。

何時間もかけて描いている間にが動いてしまうからだ。

朝と昼、夕方、デッサン室でも、光の方向は変わっていく。時として真反対になったり、夕方、真っ暗になったりする。それでもなお、像は像の存在を保持している。光によって、その存在感が弱くなったりしない。

光が存在を表現するものとして、絶対的なものではない事が、自然に飲み込める。

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デッサンが白と黒で表現するべきという根拠はここにある。

なぜ、色が無いのか。色を作っているのは、光だからだ。

光は単に物体に当たって反射して目に入ってくるだけのものにすぎない。

だから光が無ければ色は存在しない。自然界で光は絶対的なものではなく、

物の存在を示すものではない。

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しかし、では、何をキーに形を取っていくべきなのか。

最終的には、像の骨格だ。

何時間も見ていると、その像の形の中で、力のモーメントが集結している場所が見えてくる。

たとえば、ここ

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Dmo1g

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同時に力の集結点だけでなく、緊張を示すラインであったりする。

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概ね、人体としての骨格があった場所だ。

石膏像は人間の形をキーにしている。だから骨格が存在する。

それが、こういったギリシャ彫刻や優れた作品の模像を描く練習をする理由でもある。ちゃんと、すべての部分に根拠があるからだ。

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だけど、本当は、この「点」は、どんな形にも存在する。

たとえば、ミカンでも、コップでも、車でも。

デッサンの訓練をすると、それが自然に見えてくる。そしてどんな複雑な物でもその力の集中点を結んで行く作業で、形が把握できるようになる。

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