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2011年11月10日 (木)

オトナの事情でユニバーサルデザイン

P社の斜めドラム系のトップマネジメントのM氏と飲んだ。
これも内緒の話。

学生さんたちへの講演の後の懇親会。
ユニバーサルデザインの美しさを語った後だ。

「斜めドラム洗濯機、20万は高いですよね。」
M氏の表情がよそ行きから、フランクに変った。
普通、ユニバーサルデザインの話をする時、値段は語られないのだ。
酔っぱらいの口がすべる。
「あはは。うちだって、20万の洗濯機なんて、買えませんよ。」
M氏は言った。
「私、あの宣伝見た時、ちょっと驚きました。覚悟が見えるっていうか。」
「そうそう、大変でしたよ。あれ、失敗したらオオゴトでしたよ。」
っと、ここからはオトナの話。


以下は勝手な私見なので、内緒。

本当なら6万で買える洗濯機を20万に。
これは普通の戦略じゃあできない。
テレビコマーシャルがかかってこそ。だから、私も初めてあの斜めドラムのコマーシャルを見た時、驚いた。

洗濯機、冷蔵庫。。。シロモノ家電は、宣伝をかけたからって、そうそうニーズが生まれるわけじゃあない。洗濯機はどこの家でも1台、旧来品と新製品に殆ど差は無く、どこの家でも壊れなければ買わない。バカ売れしても限界がある。そこが、今頻繁に宣伝されている液晶テレビとは違う。
だから、競合他社の商品には勝たなければならないが、新しいニーズを掘り起こすという程の力は入らないはず。
だから、今まであった戦略は、その会社が決めた女優さんとかのキャラクターで、差別化をされてきた。日立なら、誰、三菱は誰...と
いう風に。そんなやり方が何十年と続いてきたのだ。

ところが、斜めドラムは違った。「ユニバーサルデザイン!」という特殊性をうたったのだ。
6万で買える洗濯機を20万に

「でも、技術的にむずかしかったっておっしゃってませんでしたか?」
隣に座った学生さんが聞いた。
確かに、回転軸を斜めにするのには大きな技術革新が必要だったろう。だから、その投資を入れると,高くなる。。。
しかし、今、各社がしのぎを削っている、プラズマ/液晶テレビ関係の技術革新、ここにはノーベル賞クラスの革新技術が必要だ。だが、パルセータの軸を斜めにというのはそのレベルのものではないはず。
液晶テレビの価格設定には相当、複雑な戦略が組まれていると思う。でも、この20万は当たり前の数字だったのだろう。

それにしても20万。一般製品との差額は14万。

これは普通の戦略じゃあ越えられない。
相当大きな賭けだったのではあるまいか。

問題になるのは、どれだけ賭ければ、この差額の14万を越えられるか。
少量のコマーシャルでは駄目だ。全く売れないだろう。
大量にかけて、しかも、新聞などでパブリシティ活動をして...それをどこまでやればいいのか。
駄目だった場合は、大失敗なのだ。
ここら辺の計算が一番の課題だったろう。

20万は高い。
洗濯機としては途方も無い値段だ。本当にお年寄りがいて、且つそのお年寄りや子供が手伝うことを期待している家の割合はどの位だろうか。そういう家に、それに期待してもらって14万、余分に出してもらわなくてはいけない。普通の計算では、ありえない。
だから、プラスαのイメージ戦略が必要だったというわけだ。
その危ない橋を渡ることに成功した。
それはすごい。
そしてその賭けのポーカーフェイスがユニバーサルデザイン。

こんな言い方をすると、学生さんはがっかりするだろうか?
でも、当たり前のことなのだ。
ユニバーサルデザインにもこういう「利用価値」があったって良い。
そういう意味でも、斜めドラムのマーケティングは革新的だったとも言える。
これまでは、2万円のIH調理器に音声ガイドをつけて23000円にしたら売れなかったというようなセコイしのぎ合いをやっていた。
これからはそんなの悩みは無くなるかもしれない。(っと願う(^^;

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