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2011年11月23日 (水)

公園遊具:親の責任?

遊具事故訴訟バッシング

前の日記のコメントでも引用されていたが、
こうやって消費者が何でも訴えるようになると、訴訟社会になってしまう。
公園で誤った遊び方をしていて、死亡したからといって、市を訴えることなどしたら、公園から遊具が無くなってしまうではないか。そういう声がある。


実は、公園の遊具の安全性問題には、結着がついている(ある程度)が、その経緯を引いて考えてみたい。


今でも、「公園 遊具 事故 訴訟」とぐぐると、多くの事故事例を引いたバッシングがぞろぞろ大量に出て来る。

「バカ親が」「アホが」「子供を殺してお金儲け」「何でも人の責任にする風潮」...

ネットのブログを見ると、1995年頃からこの手の訴訟が相次いだようだ。もちろん、すべてが自治体、遊具メーカーの非を認めたものばかりではない。しかし、認められた物に対しても多くのバッシングがある。これはいかがなものか。多くはその口調などから、学生など若い人のものだと思われるが、今の日本、子供を知らない大人が多すぎる気がする。

子供を持つ大人なら、小さな子を連れて公園へ行った時、その遊具の不備に気がついた経験があったのではないだろうか。もしくは、聞いたことがあるか。(後に説明する通り、最近は無いはずだが)
若者たちのどれほどが、自宅近くの公園の遊具を見た事があるだろう。背の低い子供の立場で見た事はあるだろうか。
多くの場合、危険に気づいた人が市等に電話をして、修理を頼む。しかし、そういう人がいない場合は、(何年か前まで)野放しだったのだ。公園は遊具を作っても、何も管理をしないのが普通。ましてや安全基準どころか、JISさえ無い。何十年も前に耐用年数を過ぎたものも当たり前。

また、もっと基本的な視点も欠けている。
ここで、親が自分の責任を他になすりつけていると糾弾する人々は、逆に言うと、自治体他は責任を親になすり付けるのはオッケーだと許していることに気づいていない。

自治体の責任を追求する VS 子供(親)の責任
という問題は常につきまとうが、管理すべきものを放置しているという責任が、チャラにされて良いはずはない。それを世間はみんないっしょにごちゃ混ぜにして、バッシングしてきた。

しかし、子供を失った勇気ある人々が訴えることによって、改善した。
現在はいろいろな角度から、こういう問題を改善するシステム作りができた。
それでも、防げないかもしれないが、「防げるはずの死」は防げる。

でも、遅い。「都市公園における遊具の安全確保に関する指針」を国交省が出したのは平成14年。いまだにJISは適応されていない。(これからだが)
ほんの何年か前までは、野放し、無法地帯。
ネットには「親は文句を言い過ぎ」のような揶揄があるが、何人もの子供が亡くなっても、誰も動きはしなかった。訴訟になるようになっても、なかなか動かなかった。(本来なら、自治体の管理区域の遊具の点検は、『緊急』を要することのはず)ちょっとやそっとの訴訟数じゃ、国を動かす力になんてなりゃしないのだ。

バッシング覚悟で、それに耐えながら活動し、たくさんの子供の命の上に作られた、法整備。

すずめはこの分野に関わったことは無いので、ネットから見える部分からだけだが、なるほど、国、メーカー、業界団体、市民が連携しての良い形を作ろうとしている意図が見える。


ネットの事故報道は、この改善をした後のものは見当たらない。
もちろん、ゼロにはならないだろうが、理不尽なものは減っているのだろう。

訴訟社会を懸念する声もあるが、こういう力にもなるのだ。

さて、公園遊具に対して、どう、取り組んでいるか。
国交省や業界団体の宣伝?
を見ると、かなり論理的には良いセン行っているようにみえる。
もちろん、こういうのがどれほど能書きと同じように効力を発揮できるかは簡単には判断できないけど。。。
でも、何にも無かった、つい、5年程前よりかは、全然マシで、っていうか、すばらしい進歩で、
こういう取り組みも何もされていない、他の蒟蒻系団体と比べると雲泥の差っていうのは、ハッキリ言える。

国交省のホームページを見ると...
公園遊具に対する、いろんな問題点、分析などを記した書類がいくつか出て来る。
その中の、「子供」に関する分析がなかなか、良い。


http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha02/04/040311/040311_07.pdf


から、かいつまんで紹介すると。

------

以下引用

1.子どもの遊びにおける危険性と事故
1-1 子どもの遊び
(1)子どもと遊びの重要性
子どもは、遊びを通して自らの限界に挑戦し、身体的、精神的、社会的な
面などが成長するものであり、また、集団の遊びの中での自分の役割を確認
するなどのほか、遊びを通して、自らの創造性や主体性を向上させてゆくも
のと考えられる。
このように、遊びは、すべての子どもの成長にとって必要不可欠なもので
ある。

--ここまで。
はい。要するに、たとえば、すずめが「公園遊具を危なく無いモノにすべき」って言ったら、きっと上のような反論が出てくるだろう。そんなの先刻ご承知。それを先ず、先手打って言ってるワケだ。

そして、こんな文面もある。
---以下、抜粋の上、引用


(2)子どもの遊びの特徴
子どもが遊びを通して冒険や挑戦をすることは自然な行為であり、子ども
は予期しない遊びをすることがある。
また、子どもは、ある程度の危険性を内在している遊びに惹かれ、こうし
た遊びに挑戦することにより自己の心身の能力を高めてゆくものであり、子
どもの発育発達段階によって、遊びに対するニーズや求める冒険、危険に関
する予知能力や事故の回避能力に違いがみられる。


------

子供はアブナイ事をする。そういう特性がある。
それを先ず,肯定している。

こういう事故の親バッシングに必ず出てくる台詞。
「親が教育すべき」
はいかに、浅はかな了見か。

だからこそ、モノを作る人々は、いかに安全に作るかに切磋琢磨してきた。
「気をつけないヤツ、気をつけるよう教育できないヤツは死んだって自分が悪い」
なんていう無知と戦って。
それは結果的に、社会的、肉体的弱者、障害を持っていたり、怪我をしていたり、様々な事情で「強さの平均値」にいない人々にも有効な手段であり、社会を強くしてきた。

引用
-----
・すべり台を腹這いになり頭から滑る
・ラダーの握り棒の上を歩く
・事故防止のために設置した柵で鉄棒遊びをする

-------

こんなコトは日常茶飯。子供が普通にやることだ。
やらない子の方が特殊で、「やるな」と教育されたらやらない子はほんの少数でしかない。

というところで、長くなったので、続きはまた、明日。

------

さて、国交省「子供の遊び」の書類の続き。
ここから先がおもしろい。

以下、引用(抜粋)

------


1-2 リスクとハザード
(1)遊びにおけるリスクとハザード

(解 説)
1) リスクとハザードの意味
①リスクは、遊びの楽しみの要素で冒険や挑戦の対象となり、子どもの
発達にとって必要な危険性は遊びの価値のひとつである。子どもは小
さなリスクへの対応を学ぶことで経験的に危険を予測し、事故を回避
できるようになる。また、子どもが危険を予測し、どのように対処す
れば良いか判断可能な危険性もリスクであり、子どもが危険を分かっ
ていて行うことは、リスクへの挑戦である。
②ハザードは、遊びが持っている冒険や挑戦といった遊びの価値とは関
係のないところで事故を発生させるおそれのある危険性である。また、
子どもが予測できず、どのように対処すれば良いか判断不可能な危険
性もハザードであり、子どもが危険を分からずに行うことは、リスク
への挑戦とはならない。

--------

そして、このリスクとハザードの境界は社会状況や子どもの発育発達段階によっ
て異なり、一様でない。
もちろん、これには、物理的な要因を持つもの(設計や管理状況に起因するもの)と人的な要因を持つもの(利用する側の不適切な状況によるもの)とがある。それそれを他方が他方を完璧にカバーできるものでは無いだろう。たとえば、いくら、完璧な遊び方をしても、設計的に危険な部分があれば怪我をする。また、いくら安全な遊具でも脱げやすい靴で遊べば怪我につながる。


しかし、全米遊び場安全協会(NPSI)は包括的な遊び場の安全プログラムにおい
てハザードを分類している。(国交省も同様の概念で分類している)


クラスAハザード 生命に危険があるか、重度あるいは恒久的な障害を引き起こしうる状態
クラスBハザード 重大な、恒久的でないケガを引き起こしうるすべての状態
クラスCハザード 軽度のケガを引き起こしうる状態

国交省はこの部分、言い切っていないが...要するに、こういうコトが当然、言いたいであろうというのは。。。

平たく言って、擦りむいたり、イタイ思いをしたりするのはオッケーだし、そこからも子供は学べる。まあ、できるだけクラスBは無い方が望ましい。少なくとも物理的要因でのものは、起こしてはいけない。
しかし!決して、命を落としたり、障害を残したりするようなことは、あってはいけない。どんなことがあっても。


この3つをきちんと分けて考えるべきだ。
誰かが死ぬような事故は、完全に、特殊だ。

蒟蒻系問題でも、公園遊具バッシングでも、これをごちゃまぜにしている無知がある。
彼等の多くは、クラスCのものもすべてダメという極論ばかり繰り返している。これは、全く別モノなのだ。

確かに、怪我は防げない。しかし、こうしたハザードの程度をどこまできちんと設計時に把握できるか。。。
作り手の責任だ。そして、それをしっかりとあらゆるアリエナイ可能性を考えて防ぐ工夫をみんながしている。


ところで、いくつか前の日記でフレアし、今まだネットで暴走中の蒟蒻畑擁護/設計者はどこまで理解していたか。
明らかに、これはクラスAハザードを引き起こす商品だ。
それを知っていないはずはない。何人も亡くなっているのだ。
それをどこまで、真摯に受け止めていたか。事故の報告を受けても『無視』などというのは、「真摯」などの範疇には入らない。明らかに。


-----


さて、この公園遊具の安全の取り組み、とても興味深い。
ものすごーっくいろいろ、いろんな角度からの検討が重ねられ、作られているように「見える」

http://www.mlit.go.jp/kisha/kisha02/04/040311_.html
(国交省の資料たち)


本当の所は分からない。もともと、つい、この間まで、死んだ方が悪いんじゃないの~みたいなのがまかり通っていた世間の「常識」がある中、どこまで行政、業界が真摯に取り組めるか。完璧なお題目だけがお飾りっていうのだってあり得るし、コレに乗じて一儲けしようという誰かの意図が隠されていないとも言えない。

しかし、まあ、素直に読んでみたい。これから何かを変えて行こうとする時に、一つのモデルとして、勉強になる。


http://jpfa2.aaw.ne.jp/jpfa/PHP/showParkDetail.php?di=56

JPFA
社団法人 日本公園施設業協会

ここではSPマークというのを発行している。
玩具におけるSTや家電のSGのようなものらしい。

(ホントは長い実績があって、カバーする範囲の広いSGなんかの認定システムの方がもっと良くできてるはずだけどね...できたら、建築やその他の分野とも比べたらおもしろいんだろーな)


認定条件は

協会の正会員であること
きちんとした製品で仕様が適切であること
協会の認定する資格保持者が配置されていること
S:2008QMS-SP表示認定審査として、ISO9001(:2000)及びJIS規格に準拠する高い品質管理能力と安全管理能力があること。

しっかりしているなと思うのは、以下の二つの資格

1 公園施設製品安全管理士
「協会の正会員に所属して、公園施設の設計・製造・施工あるいは維持管理業務の成果の安全性を判定し、それらの安全性を確保する業務を行う者」

要するに,設計、設置の時、ちゃんとした「目利き」の「人」が判断するということだ。
もちろん、こういう仕組みにはインチキの余地もあるかもしれない。しかし、創造性の余地も残せる。たとえば、滑り台の形は「こう」でなければならないというような物理的な縛りだと、宇宙船のような滑り台なんかできなくなってしまう。
しかし「目利きの人」の判断が「基準」なら、自由度が高い。特に公園遊具はシンプルだ。こういう緩やかな基準が良いのかもしれない。

そして、ここには、もう一つ、ダブルの安全確認がある。設置した後のチェック資格だ。

2 公園施設製品整備技士:「協会の正会員に所属して、公園施設製品安全管理士の指導管理・監督のもとで、公園施設の点検・調整・修繕等、整備全般に関する業務を行う者」

もし、「管理士」が安全であると許可したものでも、経年的に安全が維持できなければ、ここではねることもできる。

そして、保険制度の導入や利用者への様々な啓蒙活動も行っている。

ここは、「社団法人」となっているが...
結局は「企業努力」だ。こんな法人が待ってれば湧いて出て来るワケがない。
誰かが努力して、立ち上げたはず。
会員には、当然だがメーカーの名前が並ぶ。
会長の名前をネットで調べてみた。
なるほどね、ナントカ製造っていう、遊具の会社の社長さんだ。
(政治家さんやお役人じゃなくて)
そう、きっと、業界の関係者が自主的に作り上げていったんだろう。
おそらく、この業界をリードする人物なんだろう。

国交省、地域の人々、業界
この3つが連携して、子供たちを守る仕組み。
やろうと思えば、ここまでできるんだよね、企業さんって。

こんな良いモデルがあるんだし、
今までモメてた蒟蒻業界関係者だったら、知ってるはずでしょ。
すずめがチョイって調べてもこういうのに当たるんだからね。
「努力してる」って言いたけりゃ、ここまでやってからにしろよなっ

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