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2011年11月17日 (木)

言葉の壁

ユニバーサルデザインという言葉

ユニバーサルデザインという言葉を特許庁で商標検索してみる。
18件でてくる。
ユニバーサルだけで検索すると254件。

そりゃそうだろう。ユニバーサルなど、大昔からある言葉だ。有名な映画会社もある。

商標の特許は、それを使用する役務によって、別々に取らなければならないが、これだけあると、どこかに当たってしまいそうだ。
だが、今まで、余り問題になった事を聞かない。まあ、こういう問題に日本は緩い。アメリカじゃこうはいかないだろう。

昔、関わっていたアメリカ市場向けの仕事で、それまで出されていた、かなり強いネーミングが変更になったことがある。
理由は...一度、どこかで、その名前を使う時に、TMマーク(特許を取ってますヨという印)をつけ忘れたことがあったからだという。それをタテに、ネーミングを盗用されかねないのだと。
そんなバカな...と思ったが、本当にそうらしい。日本は何か名前を使おうと思ったら、使いたい側がその名前がどこかに特許的に押さえられていないかどうか調べなければならない。しかし、アメリカは、権利を持っている側が、それを表示しなければならないというのが基本だというのだ。
なるほど、向こうのものには、うるさくウルサクTMだのマルRだのをつけなければいけない。ちょっと文中に引用する時でさえそうだ。

ところで、このユニバーサルデザインという言葉、日本では子供でも知っているが、アメリカのデザイナたちは殆ど知らない。ユニバーサルというと、あまりにジェネラルなイメージがあって、何のコトか分からないらしい。しかし、なぜか、日本人はこれがアメリカから来た言葉だと信じている。(たぶん、ロン メースという有名な研究者がいたせいだろう)

家電にしてもITにしても、メーカーはみんな世界戦略で製品展開する。同じ言葉を共有できるのは良いことだろう。

だがしかし、このユニバーサルという言葉、日本でこれだけ特許が取られている。ユニバーサル映画なんかが幅をきかせている国じゃ、さぞがんじがらめに押さえられていることだろう。そんなにナアナアで通せるものだろうか。

実はこうした商標の問題、私達が軽く考えているのは、「訴えられなければオッケー」と思っているからだ。こういうので「訴え慣れ」している業界は限られる。外資系、芸能系以外は、そうそう裁判所なんかに持って行ったりしない。だから、ユニバーサルデザインなどという「善意のカタマリ」みたいな活動を訴えたりするワケないと思っている。
だがしかし...外資系(って、アメリカ本土だが)はコワイ。何千万、何億というような、どっから考えたらそんな金額が出るんだというようなとてつもない額がでてくるのだ。
だから、こんな、危ない表記、使いっこないんじゃないか。

「ユニバーサルデザイン」という言葉が海外で広がらない原因はそんな所にある気がする。
何で、最初っから考えておかなかったのかなあ。

もし、次に新しいトレンドを作ろうとするなら、そこまで調べてから、キーワードを作っていく必要があるかもしれない。日本だけでなく、その翻訳として使う別の言語でも。

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商標の特許の世界は難しい。
一つのネーミングを登録すると、10年程使用できるのだが、世の中に製品が溢れ買える今日、もう、登録可能なネーミングは少ない。
この商標の登録は、役務という使用目的にそったグループ分けがあって、役務が違えば登録可能なわけだが、激戦の所はある。
しかも、大企業が大きな製品を企画する場合、関連するいくつもの役務をすべて押さえるのが常識だ。車のネーミングでも、出版、電子系、食品や飲料まで、全部押さえる。かくして、ますます使える名前は減っていき、昨今、5文字はおろか、7文字のネーミングなどつけられない業界が多い。世の中にワケのワカラナイ名前の製品が増えた背景にはこんな事情がある。

この問題、プロの間では、かなりシビアだ。関係が悪ければ、というより、基本的には全ての製品を回収して、新聞に謝罪広告を出し...もちろん、裁判で決定された保証金額も払うことになる。なので、コワイ。

これは例えば、製品の大きな名前についてだけでなく、サブ的な名前に関しても言える。サブ的な分類用の名前には私達も油断するので、いちいち調べない場合も多い。もちろん、コピーにもダメだ。こんな言葉が、商標だったのか!と驚くようなものもあるし、特許庁が神経質になっているテーマは、ちょっと似ているだけで、アウトだ。また、製品を出した時はペンディングでも、しばらくして、決定した時には、落されていたこともある。(すずめも経験した。。。その時は、次回生産が取りやめになった。)

余談:
すずめは『コスモス』という言葉で引っかかった。花の名前で、他に言いようが無い。しかし、カールセーガンの本を出した某出版社が登録していた(>_< )

商標に限らず、この手の知的所有権に関するものは、プロの世界ではかなりシビアで金額的に莫大なので、気をつけなければならない。大企業はともかく、小さな団体や個人がクラったら、もう、人生が終わりというような負債を抱えてしまう。

というコワイ世界を踏まえて。

昨日も書いたが、「ユニバーサル」という言葉。どの製品も活動も、善意で使う。
でも、あれだけ押さえられている今日、そんなに甘い了見でいいのか。
確かに、「ユニバーサルはウチが押さえているので、よその会社は使うな!即日回収!」という事を言い出す会社があったら、ニュースになってしまい、その企業の狭い了見が露見する。かなりのイメージダウンになるだろう。しかし、この言葉を持っている企業には、外資系のキャラクターや芸能関係の、最も厳しい分野のものもある。こういった問題は、訴えられなければ、どんなに違反しててもオッケーという側面もある。だから、日本の小さな会社は、訴えようなんていう気は毛頭なく、訴えた事も無いだろうから、私はナメている。だが、外資系、キャラクター、芸能関係に限り、訴え慣れているのだ。彼等がある日ブチ切れて、そんな事を言い出したら、大変だ。
ありえないと思うが...本当にありえないだろうか。

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特許庁に登録された「ユニバーサルデザイン」という商標を調べると、意外に最近許可されたものもある。

こういう特許でしかたがないと思えるのは、昔、登録されたものだ。昔、そんなに広く知られた名前になるなどと思いもせず、登録されたもの。でも、英語などの表記をヒントにすると、全く別のコンセプトで使用されていても、役務が同じだったりするのだ。
しかし、意外にこのユニバーサルデザインに関して、最近、許諾されているのもあるのだ。たとえば、CUDOとか、個人的には、メンバーも友人だし、良心的な所だと思う。活動の上で、商標の登録は重要であろう。だが、これを特許庁が許諾したということは、これが一般名称ではなく、特殊な言葉であると判断した結果であると言える。そこにはちょっと引っかかる。

すずめのような場所にいると、確かにこの言葉は非常に身近だ。個人的な勘違いだろうか。
でも、いろんなコマーシャルでも、使われている。毎日、CMも含めてメディアでどのくらい出現するか、露出回数のデータがもし、とれるなら、相当の数になるのではないだろうか。一般に普及している名称と言える気がする。
。。。。。という解釈が、個人的な勘違いだとしても、こういうデータもある。

国立国語研究所。外来語研究所の「見解」

http://www.jichitai.com/gairaigo/index.asp

ユニバーサルデザイン

http://www.jichitai.com/gairaigo/008.asp#0002

全体の認知率は、半数
高齢者では25%となっている。

認知率が半数の言葉、一般名称であるとは言えないのだろうか。


きっと、こういう話、別の分野でも、興味を持ってウオッチングしたら、面白いのではないだろうか。
3、4年間前、AED(自動体外式除細動器)の一般への普及活動を始めようとしていたころ、この名称を登録しようとしていた企業があった。商標は、1年の間、ペンディングとなる。その間に、誰かが、この名称の登録に異議を申し立てれば、特許庁が許諾の判断をする材料にしてもらえる。特許庁のページをパタパタやっていて、このペンディングを見つけた時は、何ヶ月か後にそのタイムリミットが迫っていた。どうしよう。。。っとトロイすずめがトロトロしていたのだが。。。
その手のメンバーとの飲み会の時、この話をすると、
「大丈夫だよー。こんだけ、いろいろ言われてるんだから、特許庁だって、グーグル検索ぐらいするよー。」っと、言われたので、放っておいた。
結果、却下された。
(当時のこの言葉の一般への認知率はもっと低く、類似のものが過去に通っていたので、本当は、アブナかった)


特許庁、バカじゃない。

これだけ公共性を持ってしまった言葉だ。どうにかしなければならない。

問題だと思い、
これは、皆で使えるように、すずめが取ってやろうと、「バリアフリー」という言葉を出願したことがある。
すずめが公共の目的で商標特許出願済みです。みんな、使っていいヨっと、したかった。

ただ、こうした出願をする為には、それが使われている実績もなければならない。
すずめはこのデザインを「文字デザイン」として制作し、いくつかの企業で使ってもらっていた。
なので、当然、「フォント」という説明で出したのだが...


1年経ち、特許庁の判断は「却下」だった。


理由は想像できる。上で書いた「特許庁が神経質になっている分野」ということだったのだ。
長年、フォントの問題は大きな企業が泥沼の戦いを続けている。特許庁はその世界に、ミョーな前例を作りたく無かったのだろう。
でも、フォントに特許性が無いことを示したいんだったら、特許申請に関して、やるべきじゃないだろうか。商標は、ネーミング。別のはず。もちろん、フォントの問題に関して、M社、S社のバトルにこんな逃げ道を作ってしまったら、問題はますます複雑になってしまうのかもしれないが。。。(でも過去にもXX明朝などという驚いちゃうような名前が登録されているのだが)そんなの関係ないはず。


今もって、本当は異議がある。
すずめが出願したのは「商標」なのだ。役務の目的に、書かなくても良かったのだが、つい、「フォント」と書いてしまった。これを単に「デザイン」としておけばよかったのに。フォントと書いたばかりに却下されてしまった。

本当は、もし争点があるとすると、「バリアフリー」という名称の一般性だと思っていた。これに類似する名称は何十年も前に住宅メーカーなどで取られていた。しかし、ユニバーサルデザインという言葉の代わりとして使えるような位置で、取りたかった。
こういう名称、使っていなくても、使うつもりがなくても、どんどん取ってしまうヤカラもいる。だから、本当に存在しているのだという証拠を見せたくて、学会論文や使用実績を添付した。そこで「フォント」がバレて?しまったのだ。

残念。
もう一度、フォントを隠してトライしたら、通るだろうか?

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