命を守るパートナー図
昨日の学会は、医療の質安全学会の最後のイベント、前にも書いた
日本版100k パートナーズ
もいちど説明しちゃうと、100Kっていうのは、ちょっと仰天な意味。
kっていうのは、キログラムのk 1000っていう意味ね。100kは100000(すずめは掛け算得意)
アメリカでは毎年、98000人がなんらかの入院中のエラーによって亡くなっている。
あ、ちゃんと言うと、1999年11月、医療の質に関する全米プロジェクト委員会・米国医学研究所の公表した
To err is humanによると、
入院中に医療行為のよる障害を受けた人は2.9%-3.7%
でもって、それらがなんらかのエラーに起因していたものはこの中で半数以上、53%もしくは58%なんだって。
これを人口にあてはめると、44000人から98000人ってワケ。
前に毎日ジャンボジェット一機落ちてるのといっしょっていうのも聞いたけど、どえらい数。いくら訴訟大国のアメリカでも、みんながみんな、訴えてるわけ無いだろうから、結構知らないでいる人も多いのかも?なーんて思いつつ。
もちろん、頭をよぎるのは、じゃ、日本はどうなの?ってことよね。
っていうのは考えたくないんだけど。まあ、ここに統計があるからちょい、書いちゃうと。
各国の有害事象発生率
米国 ニューヨーク州 急性期病院 1984年 3.8%
米国 ユタ コロラド州 急性期病院 1992年 3.2%
オーストラリア 急性期病院 1992年 16.6%
英国 急性期病院 1999-00年 11.7%
で、ニュージーランド12.9%
日本と似てるといわれるデンマークは9%
カナダは7.5%で。
さて、日本は急性 亜急性期病院の2002年から2003年のデータで
6.8%
うっそー。アメリカより全然多いじゃん。
あ、でも、こういうのって、みんないっしょに合わせてデータとったわけじゃないし、ねえ。違うかもしれないよね。6.8とかって、細かい数字ヤダ。(すずめは都合の悪い小数は苦手)
あ、ごめんなさい。見なかった事にしてください。
ってのはともかく、日本はそんなに死んでないに決まってます。(根拠無く言い切るすずめ)
ってのは、とりあえず忘れちゃって、
前にも書いたけど、アメリカにはこの10万人を助けようというプロジェクトが行われ、実に急性期病床の78%が参加した。その同じようなプランが今、日本でも始まって、5月にキックオフ、そして、昨日がその第一回全国フォーラムだったワケだ。
目標は、
有害事象件数の軽減 30万件以上
入院死亡数の軽減 1万人以上!
すごいじゃん。
ってコトで、つづきは明日。
ーーーーー
この日記は、
二つ前の「すずめとあそぼ」からの続きです。
さて、一昨日はそのアメリカ100Kの仕掛人、コンウェイ先生がいらしていた。
ちょい、おもしろいのは、オバマさんに燃えてるコト。ミシガンだから近いんだそう。学会初日の講演では、マクドナルド先生が、やっぱりオバマ万歳みたくおっしゃってたな。なんだか、とっても医療に関心のある方なんだそう。。。(ホント?)
アメリカって、何でも経済効果で考えるけど、この100Kプロジェクトも費用対効果の大きさ、主張されていた。そりゃ、天秤の片方には、人の命が乗っているわけだ。
休憩の時にコンウェイ先生に、ユニバーサルデザインの事とか言ってみたんだけど、案の定、ユニバーサルデザインってコトバもご存知無い。スペシャルニーズを持つ人たちには、エラーを回避するために、フールプルーフみたいなのって大切だと思うんだけど。。。って言ったら、「うん、それは重要だね」だって。。。。って、要するに、あんましそういう視点は無いってコトよね。だって、もし、そうだったら、とっくにやってて「そんなこと、言われなくてもいろいろやってる」トカナントカ言うはずだし。
話をもどして、
その中の一つ、「手洗い推進」
こんな事に?って思ってしまうのだが、やはり、大きな問題なのだろう。コンウェイ先生のセッションにもでてきた。病院のあちこちに、手を洗う洗剤を設置する。具体的に方策を考えることが重要。
日本でも、一つの指針がそれだ。手を洗う....簡単なように見えて、なかなかできないのは分かる。だって、彼等の洗い方はわれわれのとは違う。ああやって、一日に何度も何度も洗ってたら、手の皮がボロボロになりそうだ。すずめは冬になると爪の角とかバックリ割れることがあるけど、イタイ。それどころの騒ぎじゃなくなるだろう。
講演の中でアユ先生がおっしゃる。
手を洗う
こんな事、分かっていても出来ない。
ある病院で、こんな事例がありました。
手を洗う。そうは言っても、なかなか出来ない。だから、私たちは、患者さんに「私たちに手を洗ったかどうか聞いてください」というバッジを作ったというんです。そんなこと、びっくりしてしまいますが、でも、やはり、効果は大きかった。
でも、これは、こうして下さいと言う意味ではありません。あくまで、事例です。
それにしても、アユ先生(女性)のしゃべりはウマイ。暴走に近いテンポなんだけど、滑舌が良いので、分かりやすい。人を飽きさせない。媚びない、でも、笑いを取るのがうまい。芸人としてもやっていけるんじゃないの?なーんて思っちゃう。
それにしても、医療者自ら、
「私たちに手を洗ったかどうか聞いて下さい」
というバッジを作る発想。仰天モノだろう。
おそらく、めちゃくちゃ反対する同僚もいそうだ。それにも打ち勝って、そんなのを作ってしまうような人たちさえいる。もちろん、すずめだって、そんなのみんな、作れば?なんて言えないし、思わない。でも、すごい。
人の命を守る為に、
プロとしての自尊心など捨ててもいい。
そんなプロフェッショナリズムを感じる。すごいな。
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ひとつ余談
コンウェイ先生、若い女性をご同伴。
普通に考えると娘さんなんだけど。。。。さすがのすずめも聞けない(シャイだし
飲み会で、イブちゃんと、「ねえ、どうなんだろう。」って言ってたら、
隣に座ったおじさんが、それを聞いて、イキナリ、「何歳?」
わあ、すごいな日本男児。
あはは。学生さんでした。政治学が専攻だとか。。。。で、Dadって声かけてたから、やっぱりそうなのね。
っていうコトで続きはまた明日。
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この日記は3っつとか前の、
すずめとあそぼ
の話せば長~い続きです
ところで今回、すずめががんばったのは、「私たちの活動展」のパンフレット。
突貫工事だったので、デザインなんか考えてたワケじゃないんだけど、表紙は写真でごまかそうと思ってた。
「私たちの活動展」
どういうモノかというと、全国には、医療の問題に草の根的に取り組んでいる団体がたくさんある。しかし、知られていない。それを集めて、力にしようというもの。30団体程が集まった。本当にお友達組織のようなのから、メディアでも有名なものまで。内容も様々で、医療政策、癌や介護、アレルギーみたいなのから、歯科や外国人サポート、カツラまである。
集めるって言ったって、集まってくださいとか言ったって来っこ無い。だから同時に、「新しい医療の形」ということで、そういう活動をしている人たちを自薦、他薦で募集して、表彰することにした。表彰なんかに意味があるわけじゃない。「表彰します」っていうのが、告知(宣伝)チャンスになるし、メディアも流してくれるっていう方便だ。
なるほどと思った。
これは、ウー先生のアイデア。このセンス、すごいなって思う。この世界、何人か、こういうデザイナ的センスのドクターがいて、彼等が影で世の中を動かす力になってたりする。おもしろいのは、彼等、「仕掛人」で、あまり表へ出て来ないこと。この学会も、プロジェクトも実質リーダーは彼だが、表向きは医師会の会長だったりする。
それにしてもウー先生のこのパワーはハンパじゃない。もしかして、本当に、来年の日本の平均寿命は伸びるかもしれない。でも、その仕掛けがここでされてるなんて、きっと誰も気がつかない。
さて、ハナシをパンフレットにもどすと。
「私たちの活動」展
いろんなものがある。大きなものから、小さなものまで。
今、医療を巡る様々な問題が議論されている。どれも、最後は大局で考えないと解決sないというところに結着する。そうかもしれない。だけど、医療を求めているのは、私たちのナマミの身体だ。政治論をいくら並べても、腰の痛みはよくならないし、ぜんそくの咳も止まらない。欲しいのは、苦しみ抜いて飛び降りようとした人の、そばに来て、手を伸べてくれる人だ。その人が助かっても、日本の医療は良くならないかもしれない。だけど、高度な先端医療と同じように、人の命を救う。そういう草の根。ひとつの形ではなく、小さな、雑多な、いろいろな形の活動。
っていうことで、すずめはその表紙に箱根湿生植物園に行った時に自分で撮った写真を使ってみた。アリポジなんて手配してるヒマ無かったし。
湿生植物園の、池。大きな木小さな木、草やいろんな植物、生き物の宝庫だ。きれいな花が一輪っていうのじゃなく、きれいじゃないかもしれないけど、いろんな生き物に溢れていいる。昨今、生物の多様性が失われつつあると言われる。生物は多様性があってこそ、強くなる。
医療の世界もそうじゃないだろうか。こういう草の根の多様性があってこそ。社会に底力が生まれる。そんな想いをこめて。
長くなったので、また明日~
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えーっと。
しつこいんですけど、
この日記、4っつ前のすずめとあそぼのつづきです。
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そんなコンナ
いろいろあって、ひとつ、ちょっと面白いなっておもったのは、
医療情報を公開する運動をされてるカツ氏。
彼はイロイロ長い話があって、その経緯で、カルテを公開せよというような運動をされている。そんな一環にあるのが、
レセプトの開示。
平たく言うと細かいお金の内訳とかイロイロ病院はちゃんといつも教えなさいってコトね。時々新聞とか載ってるよね。
正直、すずめはこのレセプトの開示の要求、そんなに大したコトだなんて、思ってなかった。カツ氏も言う。
「また、お金のことかと言われる」と。
保険で支払われるんだし、そんなに、コマカク言っても分かんないし、メンドイだけじゃんっていうのが、すずめ程度の頭脳の持ち主の本音。(だよね)
しかし、カツ氏は言う。
要するに、医療の価値と対価が同じであるべき。それを主張したいのです。その具体的な一歩として、レセプトの開示。
今、医療の本当の価値と、対価、同等になっていない。誰が考えても、命を左右する救急医療や産科の医療の価値は高い。だけど、他のものと同じにしか換算できない。
それをきちんと、その価値に見合う対価が支払われる仕組みにしなければならない。
わあ!
目からウロコだった。
そういうことだったのか。
確かにそうだ。
(以下はすずめの思ったコト。間違ってるかもしれないけど、カツ氏の例示したハナシじゃないので、モンクはすずめに)
ハナミズを出した子供を普通の外来に連れてっても、夜中に救急に連れてっても値段は同じ。自治体によっては、どっちも無料。だけど、薬屋さんで鼻水の薬を買えば1000円。(後で請求できるかもしれないけど...しないかも)
いずれにしても、消費者はコスト意識は持てない。持てないどころか、薬屋さんで1000円払うんだったら、夜中の救急に連れてった方が、並ばなくて済むし便利じゃんとか考えちゃったりするかも。
鼻水じゃ別に病院行かなくても、薬なんて飲まなくても死なない。
だけど、転んで割り箸が喉に刺さった子を助ける医療は違う。これにはどんな対価を払ったって価値がある。。。。。なのに、手当が同じなら、対価は同じなのだ。
産科にしてもそうだ。何人かの妊婦さんの為に、ドクターたちは、24時間詰めている。彼女たちが全然医療を必要としてない時間もすべて。利用していなくても、キープしてるってコトだ。だけど、そういうコストはもちろん、換算されない。今決められている対価は、本当に相応なものなのか。
本当に相応なものなのか。そうでないのか。
すずめたちには分からない。分からないっていうか、考えたコトない。
すずめはコーヒーはマックなんだけど、マックは120円、ロッテリアは210円だから。そんな値段はよーく知ってても(ってすずめだけ?)医療の値段は知らない。
前に書いたけど、エラーを防ぐよう設計された新しい三方活栓が高いって?どの位高いんだか、ドクターは誰も知らなかった。
医療って、ユーザも、医療者も、誰も値段を気にしないのだ。マックのコーヒーは120円で自動販売機の缶コーヒーと同じ値段だけど価値あるよね、だっておいしいじゃんとか。。。。そういう評価って、値段を知ってればこそ。値段を知らないモノの価値は、だれも意識しない。
空気と同じように。
医療には「おいしいじゃん」とか、
「お得じゃん」とか、全然、考えない。
もっと言えば、すずめが応援してるロービジョンの問題でも、ロービジョンケアは保険の点数にならないから、広がっていかない。白内障の手術は3分でできるとかイロイロ切磋琢磨して(?)一時間に何人できるか励んじゃってる人たちがいても、人の人生に光を与える時間には対価が無い。そりゃ、いいよ。世の中、プライスレスのものもいっぱいあるんだし。だけど、プライスレスだから、酔狂なヒトしかそんなコトやってくれないじゃん。
価値のあるものと、それほどでもないもの。無くてもいいもの。。。
本当の価値観を感じるセンスが欲しいと思う。それには先ず、値段を知る事。
そこから始めるのは、正しい気がする。
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さて、5つ程前の「すずめとあそぼ」
から続いた、命を守るパートナーズのラストです。
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何かしつこいけど、もうひとつ、考えさせられたコト。
飲み会じゃシンポジストのH氏とご一緒した。
彼はアメリカで癌やら心臓病やらイロイロ大病して、日本に帰ってきても、イロイロやって、もう百戦錬磨。その中の話。
やはり、アメリカの医療は良い。
ただし、お金の事を考えなければ。
でもさあ、お金の事って言ったって、程度問題じゃん。日本にだって、医療に見放されて、高い壷やら、キノコやら何百万もかけて買う人だっていっぱいいるんだし。
その程度って。。。。。?
たとえば、放射線治療。一回20万だそうだ。1クール25回とかやったら、いくらかかるんだろう。そんなめちゃくちゃな数字アリ?
モノの値段って、原価とか機械の償却率とか考えて決まるはずだけど。
だとしたら、完全に、市場原理、無視してない?
そのうち、破綻したりするんじゃない?
うーん。
そういえば、すずめのお友達の年配の方。(もと、C石油の社長だし。。)
奥様が腰が悪いっていうので、ずっとアメリカに住んでたから、治療は向こうでって、アメリカでやったそう。そうしたら。。。請求書
1900万!
そんなの、財界人だからこそ、できることだろうけど。
(後で他のアメリカ帰りのドクターに聞いたら、『何で値切らなかったの?』だって。そういう発想無いよね.日本人には)
帰りの電車は、ジャーナリストからI大の先生にトラバーユしたマル先生とご一緒した。
アメリカ医療。シッコの映画じゃないけど、マジであんな感じ。
どんなに良くても、限られた人しか受けられない。
でも、日本の医療。このままで良いのか。
本当は高齢者が一番望んでいるのは、ちゃんとした医療。それは、年金が3万5万多いより、全然価値がある。
そうだそうだ。
彼等、家も持って、生活に困らない程の年金もらって、それでも、貯金してる。なんで、貯金しなきゃいけないかというと、「もしも」 の時のため。「もしも」が保険診療だったらタダ(同然)だけど、そうじゃないのを受けないといけない場合には、お金がいる。だから、溜めておかなきゃならない。
もし、「もしも」に、充実した保険診療が受けられるなら、貯金なんていらない。
なのに、後期高齢者医療ナンタラの時は、あんなに大反対。
一人一人がもうちょっと余分に払ったっていいじゃん(って、後期高齢者医療のモンダイの時は、必ずしも負担が増えるとは限らなかったんだけど)
そのかわり、医療の心配の無い老後の方が、楽なんじゃない?
なーんて、熱く語り合ううち、
すずめのお宿駅に到着。
みなさまおつかれさまでした~♪
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