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2011年11月23日 (水)

寄り添う意匠


某建築家さんの日記に、
リモコン位置の写真が載っていた。
家具の横側面?にテレビのリモコンが貼付けてある。

或る、高齢の方の家の改築で、この施主さんには、このリモコンの位置が重要。
だから、それを変えないために、写真に残したのだという。


すずめのお宿は、知らない人が設計したものだった。
シンプルだったので住み始めてからちょっとずつ、自分で自分用に変えた。
でも、本当はここはすずめには合ないと思う場所もあったけど、それは家に合せるしかなかった。
設計した人は、すずめじゃない大勢の普遍的データと、いろんな条件でこの形に決定したのだろうから。
不動産屋さんは言う。
住んでると、たとえば、窓の前のこの出っ張りが良いのよっていうのってあるでしょう?
たった5センチのことで、天と地ほどの便利さの差があったりとか。
だけど、そういうの、不動産の価格には反映されないんですよ。
そういう、小さな便利さは、住み手が自分の身体を合せていく中で見つけていくしかないのかもしれない。
見つからなかったら、きっとその家は好きじゃない家になるんだろう。
そんな事を繰り返しながら、でも、
これから先、住み手が変わっても、家は変わらない。住人はずっと、家に合せて生活していく。


だけど、某建築家さんの家は違う。
最初から、その人の形に設計されている。
小さなでっぱりもあるんだろう。探さなくても、ちゃんと、リモコンはそこにある。
自分の腕の長さの端に。
人にあわせた、意匠。


もう一つの日記、
某、リフォーム会社のヒト。
と言っても、家のリフォームではなく、いろんなもの。
洋服とか。
彼の日記にあった。
最初はブティックだったとか。
ブティック、次々とお客さんが常連になってくれる。そういう人たちが、次の年も、次の年も買ってくれる。だけど、それが、毎年、ちょっとずつ、高いもの、高級な物になっていく。
だから、だんだん、お店に置いているものは高くなっていき、高級品店になってしまった。

そこで彼は思った。
これで良いんだろうか。

彼が新たに始めたのは、「リフォーム」のお店。
合わなくなった服をその人に合せて仕立て直す。
ズボンが短くなったら、長く。子供の背に合せた服。これから先も、その服は、形を変えて、人を包んでいけるんだろう。


大量生産の時代。
デザイナは最大公約数を見つけようとする。
でも、それは、一つ一つの数にぴったりのものではない。ユーザは自分を3分の1、5分の1にして、合せていく。

某建築家さんの家もリフォームの服も、合せなくても、人に寄り添う。
マスプロダクションという回路からは、無駄のようにも見える。
だけど、
実際の所、短くなったズボンは長くすれば、新しく買わなくてもいい。
高齢で一人暮らしの人も、自立して暮らしていける。
全然、無駄じゃない。
シンプルに、合理的だ。

最大公約数と、
それぞれの数。
それぞれの立ち位置で、
視点を広く持てるといいな。

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