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2011年11月10日 (木)

ロービジョンって

これは、2007年に書いた日記から。
随分古いんだけど。


今まで、ずっとユニバーサルデザインについて、書いてみたが、ここで、視覚障害について、ちょっと書き留めておこう。

多くの人は、目が見えないというとイコール、何も見えないと思っているかもしれない。しかし、そうではない。少しは見えるが、生活は不自由という人の方が圧倒的に多いのだ。

視覚障害というと、先ず、障害者手帳を持っていると言うのが、ひとつの基準かもしれない。分け方としては複雑だが、大雑把に言うと、
両眼の視力の和が0.01以下のものが1級。
2級は両眼の視力の和が0.02以上0.04以下のもの
両眼の視野がそれぞれ10度以内でかつ両目による視野について視能率による損失率が95%以上のもの
矯正眼鏡が補装具として認められる視力は0.02以上。ここから0.3までがロービジョンというように定義づけるホームページがいくつかある。

更に,もう一つ、教育的な概念がある。特別な取り扱いを要する児童・生徒の教育的処置については、盲児(強度の弱視者を含む)は盲学校で盲教育、0.1 以上0.3未満または視機能障害高度の弱視児は特殊学級・通級・普通学級で弱視教育という形態となっている。

一方、WHOではカテゴリー1が0.1以上0.3未満、2が0.05以上0.1未満、3が0.02以上0.05未満、4が光覚以上0.02未満、5が 0.6か不明という分類としている。

そして、このロービジョンの人たちの見え方は単にぼんやりとするとか、暗いとかという単純なものではない。歪んでいたりまぶしさがあったり、見える部分 が散っていたり...100人いれば100人、違うと言われている。

視覚障害者のうちロービジョンの占める割合は(東京都心身障害福祉センターの10年ごとの30年間にわたる同一基準で判定した統計による)盲は20%、 ロービジョンは80%。数的には、ロービジョンが圧倒的に多い。(全盲の範囲をどこまでで区切るかによる)更に障害者手帳未取得の視覚障害者は100万人いると言われているが、その多くが全盲ではないだろうと想像すると、この差はもっと大きくなる。

平成13年度の厚生労働省の身体障害者(児)実態調査によると、20歳以上の視覚障害者の人口は301,000人、そのうち、約64パーセントが65歳 以上。高齢化に伴う疾患に由来するものも多いため、高齢化が進む中で、増えていることになる。
この原因だが、障害者白書の基礎資料(平成18年度)によると、その障害発生時の年齢は40歳以上が60%を占める。原因としては約30%が不明とするものの、約40%は疾病。小さな頃から盲学校で点字や歩行等の訓練を受けているわけではなく、この年齢からスキルを修得しなければならないことになる。視覚障害者と言うと点字を思い浮かべるが、点字が使える人の割合は1割しかない。

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ロービジョンの友人がぼやいていた。
お金の表示が不便。
今のお札の識別マーク、気が付いた方はいらっしゃるだろうか?
昔は紙の繊維を盛り上げて、丸いマークなどが付いていたが。。。
今のはどこだろう?
見つけられない人もいるかもしれない。棒のようなカギのような「印刷」がされているだけなのだ。

もともと、お札のマークの位置もおかしかった。
一応、大きさも違うし、分かるはず?
でも、お店で財布の中のお札を全部出して、比べて、四隅を探して。。。など、するだろうか?
こんなに頻繁に使うもの、何で、こんなに不便なのだ!っと、。
ちなみに、一万円札の製作コストは14円だと、昔言われていた。今、値上げされてても、せいぜい30円?ものすごい利益率だ(^^;
コストは言い訳にしないで欲しい。この識別は、偽造対策にも使えるはず。

ところで、なぜ、そんなヘンなのに決まってしまったか。

こういうモノを調査する時、政府が聞く団体が大体決まっている。
視覚障害に関しては、全盲の団体なのだ。

私の口からは言いにくいので、彼女の言葉を引用すると、
「でもね。国とか企業とかから、『こんなにがんばって工夫してみました。これでいいですか?』って言われると、彼らは何でもやってくれるならオンの字だと思ってるから、何でも『ハイ』って言っちゃうのよね。」
なのだそうだ。だから、提示された案に関して、何も反論しない。。。
ロービジョン系の人たちの多くは、見えると見えないのボーダーを知っている。こういうユーザビリティにうるさい。それが便利か便利でないかによって、使えるか使えないかということになるので、見る目のある人も多くなるのだろう。

彼女らは私には完璧に見える代替案を提示していたが。。。却下された。
理由は分からない。
どうせ、コストだとか、今ので十分だと「言う人もいる」という言い訳をされたのではあるまいか。

ユーザビリティのハナシも誰に聞くかによって、「良い」「悪い」の結果は大きく左右される。よく、「視覚障害の方に評価してもらって」
と書いてあるが、このコトバも鵜呑みにしてはいけない。何人のどういう人たちに聞いたか。。。きちんとした実験をしているかによって、180度違う。


視覚障害に関しては、全盲ブランドが「高級」なので、大体そこに聞かれることが多いそうだ。全盲の方が間違った事を言うという意味ではない。多様性を認識して、評価をするなら、その多様性の広さにも注目して欲しいと思うのだ。昨日の日記に書いたように、全盲の人は全視覚障害者の一部にすぎない。それを知らない人は多い。


「全盲の人に聞いたら」という言葉は天下の宝刀、「問答無用」のマジックワードだ。企業や行政が使おうと思えば、示威的にいかようにも作れる。
素人も簡単に口にする。「全盲の友達がそう言ってた。」一般人と同じで、その分野の見識の高い人もいれば、低い人もいる。普通の生活者だったら、友人との会話で、サラリと無難な答えをする人も多いだろう(というか、そういう人の方が普通で、そうじゃないマジな答えをすると『KY空気読めない』と言われる)

きちんとした評価実験というものはちゃんとある。

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