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2011年11月17日 (木)

トリアージ模擬患者のスズメ

実はすずめ、趣味はトリアージの模擬患者。
今日は東京消防庁、D-MATの訓練に参加してきちゃいました。
ってコトで、そのレポート。例によって長くなるかもしれないので、2、3日にわけるかも。

@新木場の広大な消防庁の訓練所。

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トリアージ トリアージ


この言葉、最近、ニュースなどでも取り上げられるようになってきたので、ご存じの方も多いかも。
大規模災害などで、傷病者がたくさん出た時、順番に見ていたのでは助かる人も助からなくなります。そこで、
黒、赤、黄色、緑
の4段階に分け、緊急度の高い順に搬送するんだそうです。
緑は軽症、黄色は中程度、赤は重傷。黒は助けるのが難しい。。。というような分類。
特に赤の状態の人たちに対する対応は重要なんでしょう。搬送が遅れれば死につながるんですから。彼等をどう、助けるか。その為には、もう手後れになってしまった人は後回しにせざるをえないんですね。それが黒。

もしもの時のため、医療、消防に携わる人々はこんな事も訓練しています。学会や医療組織が主催するものから、大規模なものまで様々。自治体や国が主催するものには、ラジオ放送網や何千人もの人々を巻き込んで、海上保安庁の船やヘリコプターなども出動するものもあるんです。

さて、今回の設定は、マイクロバスが3台の乗用車に玉突き衝突したというもの。今まで参加したものは、集団災害(地震など)を想定したものが多かったんですが、このような規模のは初めてでした。聞くと組織によっても違うけど、東京D-MATはこういう規模のものでもちょくちょく召集がかかるのだそう。

ちなみにWikiで東京D-MATをひくと

医師、看護師、救急救命士、事務官から構成され、災害や事故の際にいち早く現場に駆けつけ、救命医療を提供する医療チーム。平成16年に全国で先駆けて東京都に設置された。東京都福祉保健局が主催する隊員養成研修を受講し、災害現場での医療ノウハウを取得した後に隊員となる。

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すずめたち模擬患者は、それぞれバイタルなどの設定をされ、その怪我の程度に合わせて、メーキャップ/ムラージュもします。そのミチのプロがしてくれるんですが、リアル。火傷と熱傷は違うなど、細かい症例の違いも再現しちゃう。これだけでもおもしろーい。もちろん、衣装もいろいろあるんですヨ。足が取れてしまったもの、顔全部が大火傷を負ったことを模したマスクなど。。。

いつもの冗談
「この集団でコンビニに嫌がらせに行ってみよーっか。」

今回の訓練に参加したのは、模擬患者研究会の面々、20人。メンバーの多くは、医療関係者、その演技の様子もリアル。この症例だったら、麻痺はこう。などと、理屈?にあったプレイをしてます。もう慣れちゃったけど、メーキャップをして、こんな様子の人を見たら、本当にびっくり。

というだけで、本題に入る前にこんなに長文になっちゃった。


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昨日の続き、DMAT訓練の赤裸々報告


さて、訓練開始。
傷病者7番のすずめ。


マイクロバスには10人ちょっとのメンバーが乗車していました。うちの一人は、
救急訓練用の人形、「アンちゃん」。言うまでもなく、「黒」の設定のヒト
です。
7番のすずめは、「頚部打撲」の軽症。「首が痛い」という程度でしょね。
こういう状況では当然、「元気な人」ほど騒ぎます。重症患者は声も出
せないんですよね~。
お調子モノのすずめは地でイケちゃう。

マイクロバスの乗車メンバー。
「会社の研修の帰り、事故ったということにしよう。」っと、話がまとまり、
他の二人の軽傷者とともに、自分だけ助かりたいすずめは車の外へ。
そこへ、何十台もの消防車が到着。
「うっそー。ホントにこんなに消防車、来るの?」
模擬患者メンバーの何人かは、実際の救急救命士。
「東京なんかはそうだよね。もう、マイクロバスの事故っていうだけで、
とりあえず、ありったけのポンプ(消防車)集めるんだよ。」
なるほど、よく、空き地でボヤというだけで、10台も消防車が来たなんていう話
がありますよね。今、PA連携ということで、P(消防車)とA(救急車)
をいっしょに出動させるんだそう。現場に早くついた方が先に作業
にかかるのってワケです。ここで、まっ先についたのは、そのP。そりゃ、
訓練場の中だモン。

「助けて下さい。こっちです!」
っと、偉そうに、消防隊を招くすずめ。しかし、入れないように、戸口を塞ぐ形
にしてしまう♪
「何人のっていたんですか。」
パニクる市民は
「えーっと、50人ぐらい!」(こんなバスにそんなに載れるかっ!)

実は、すずめのこういう訓練でのスタンス。もう何度もこんな訓練に参加
しているオタクなんですが、キモチは素人市民。素人市民の中でも、もっとも
厄介な無知な市民を演じることにしています。
だから、この時点で、すずめは、「助けにきたのはお医者さん」だと信
じているんですよね。救命士も消防士もごっちゃで同じと。フツーの
人ってそうでしょ。

会社の同僚が大変な事故にあってるにも関わらず、ヤジウマ根性のすずめは、
消防隊の邪魔。もちろん、外に脱出している3人は歩けてるワケで明らかに
「緑」の分類。
「みなさんは、ここで待っていてください。」
一人の消防隊員が4人を道路脇に。
「私達、誰も助けてくれないんですか?車、爆発したらどうするんですか?」
っと、活動の邪魔。
他の二人は、腕の解放骨折と、足の怪我。
「ねえ、課長(っと適当にすずめが任命?)、課長の不倫してた彼女、まだバス
の中ですよー。助けなくていいんですか?」
でも、足を怪我してるって、動かないんですよね、カチョー。薄情なヤツです。

そうこうしているうちに、救護所の準備ができたそうで、そちらへ歩いていく、
軽症の4人。
「ここで待っててください。」
っと、毛布を渡してくれましたが。。
そんな事、言われたって、聞くわけないでしょっ。
「いつまでですか?」
「会社に連絡しないといけないんですけど。」
「いつ帰れるんですか?午後には会議があるんです!」(同僚は重傷
負ってるだけど。。言いたい放題、勝手なすずめ)
しかし、それどころでない消防隊は我々を残して行ってしまいました。
しばらく放置プレイの緑ゾーン。
お調子モノすずめはなぜか、衝突したマイクロバスへ戻っていきます。
そこで、運ばれもせず、担架に乗せられたまま、放置されてるアンちゃん(人
形)を発見。彼女、常日頃から心静止してるもの静かな美人。
「アンちゃん!」
っと、友情に厚いすずめは駆け寄りました(涙)。
「アンちゃん、死にそうじゃないですか!どうして、助
けてくれないんですか!」
「順番に、助けますから。」
と、医療班は去ってしまった後の現場にいる消防隊。
あはは、市民のすずめは、そんなコト、知らないんですぅ~。
「どうして?こんなに大怪我してるじゃないですかっ!アンちゃんが先でしょ!
アンちゃんがもし、死んだら、私、訴えますからねっ。事故の後、ずっと放置
されてたって!」
っと、イロイロうるさいすずめは、緑の救護所に追っ払われてしまいました。

チュンっ。


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さて、今日のも3日前からの続きです。
波瀾万丈抱腹絶倒のストーリーを是非。


「すみませーん。私たち、怪我してるんですけど~。」
緑ゾーンで放置されてるすずめはウロウロ隣の重傷者のテントへ。
「友達がとっても痛がってるんです。早く来てくださいっ!顔、怪我
してるんですよー。」
「はいはい、順番に見ますから。」
あ、でも一応言っておきますけど、その顔を怪我した嫁入り前の娘、バスの
椅子のバーで打ってるんで、いつ、脳出血してもおかしくないんですけど~。頭
も痛いって設定だしぃー。でも、そんなの、バスの中で対応した人に
言っただけ。
その人が見のがすと、そのまんま、緑にいることになっちゃうのよね。タグ
にもかかれなかったし。だから、あながち、すずめみたく騒いでるってのも、
間違いとも言えないかもね。
で、順番待ってるんだけど。。。
順番なんて、勝手な市民には、自分が一番ってのが「順番」のオキテなんです!
誰が怪我してたって、そんなの関係ないっ!んです。
あいつら、私たちのバスにぶつけたんです。何で助けるの?
っと、足下に、重傷の課長(っと、今、すずめが勝手に任命)。
「あー、課長。カチョーが、お酒飲んで運転なんか、
したからじゃないですかぁ。バスぶつかっちゃったじゃない。
どうしてくれるんですかー。」
っと、無抵抗なカチョーは一方的にすずめに責められて、脈が弱
くなってく。。。(嘘)
あらら。
その時、隣に、足だけ怪我してる、大して重傷でない部長発見。
日和見なすずめは、出世を考えて、すかさず。
「まあ、部長!大変!足、こんなに怪我しちゃって。」
近くで重傷者の手当てをしている医師を見つけ。
「この人、大変です。足、こんなに怪我しています!この人先にしてください。
ウチの会社のブチョーなんです!」
「はいはい。順番に診ますから。」
っていう医師を無理やり、引っ張ってきました。
順番って、もちろん、課長より部長が先ってコトじゃん。
しかたなく医師は部長の相手。
で、また行ってしまいました。
「どうして何もしてくれないんですか!こんなに怪我してるんですよ!」
っと、尚も食い下がるすずめ。

だってねえ。ここはトリアージの現場だけど、市民はそんなの知
らないのよ~。医師っていう人がくれば、軽症だって手当てしてくれるって思
うじゃん。

あ、また、ここにアンちゃん。
放置されてる。
「アンちゃん!」
友情に溢れたすずめは駆け寄ります。手には燦然と輝く黒タッグ。
「アンちゃん!」
どうして、誰も、何もしてくれないの?こんなに怪我してるのに!どうして、
あの、アホ課長の方が先なの?
美人薄命
(涙)


言いたい放題のすずめでございました。


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この日の訓練の正式な仕組み。
実は一つのストーリーに描きましたが、2回ありました。それを混
ぜてしまってます。
模擬患者20名。DMATは5チーム(たぶん)それに、助っ人の救急隊員の方々。

DMATは医師、看護師、救急救命士、事務官の4名ってことですから、全部で20名
かな?

さて、ツッコミ満載、ってゆっか、ツッコミ漫才のような日記でしたが、
こうやって見せると、どう、解決して良いのか、ちょっと見えてきませんか?
医療者の立場からじゃなくて、普通の素人の視点からも考えてもらえるチャンスかなって思います。


いつも思うのは、黒の設定です。
実際の現場で本当に、少しでも息があったら(って呼吸が無くても)本当に黒
にできるのか。。。尼崎の時はどうだったんでしょうか。そういう重篤な脳挫傷
でも黒にしていたのか。神戸の時はまだあまりトリアージの概念は導入
されていなかったでしょうけれど、実際、それを迷わせる事例
があったのか。。。
実は疑問だと思っていました。
医師の方々も人間。もし、そうだったとしても、一縷の望みをかけて最優先
させていたのではないでしょうか?
特に、今回の事例位だと、傷病者は20人。結果として、(それは訓練者には分
からないことですが)重傷の赤の分類の人は6人。黒は1人。
この中で、黒の搬送を本当に後回しにして「是」とできる?
黒が運べないという事は、後に検証した時、初めて分
かることではないでしょうか?その事故の時点では、まだ、傷病者の数が受け
入れ側のキャパシティを超えている事が分からないはず。尼崎の時もMLの投稿
にありましたが、「一度、救急車に乗せた重傷者をおろして、さらに重傷な人
を載せ変えた」というのがありました。乗せた時には、最重傷であっても、次
の時には変わってる。逆もアリかもしれませんよね。しかも、何の検査器具も無い所での判断。
だとしたら、本当に、「黒」を切って、後で、「その判断は間違っていた」
という「検証」がされたら、その判断をした医師は、糾弾されないのでしょうか?
DMATの組織であれば、医師が個人として責められないよう、守ることができると思います。でも、これが、近隣の善意の医療者であったなら。。。
「もし、アンちゃんに、もしものことがあったら、訴えますからねっ。」
っと言われて、どうするのか。
難しい問題ですよね。

更に。。。
今回のは東京DMATの訓練ですから、東京近辺。ですが、もちろん、
事故発生現場によって、状況はイロイロでしょう。5人の怪我人でももう、
キャパシティを超えてしまうような島や地域もあるでしょう。そういう時の赤や
黒の設定もまた、変わってくるんでしょうね。
特に、いつかは来ると言われている、関東地方の大規模災害。これにむけて、
医療ー国ー市民。具体的連携ももちろんですが、こうした「心構え」
に関するコンセンサスも取って置くべきかもしれません。

よく、心配蘇生などの問題で、「よきサマリア人法」というのが話題
にされます。
道ばたで誰か倒れたとき、それを善意の第三者が何かしようとして、(たとえ
ばAEDを使ったりして)悪い結果になった時、その第三者をどう、守るのか。。。
そういう不安があって、助けるのを躊躇するという話を聞きます。でも、実
はそんなことありませんよね。ネットのどこかに正式な記述があったと思
いますが。
しかし、災害時の場合はどうなんでしょう。
神戸の時も多くの地域の医療関係の方が活躍されていましたよね。組織
としてではなく、個人として。DMATのような活動母体に所属していれば
守ってもらえるかもしれませんが、個人の医療者としては丸腰でしょう。
しかも、医師法には、「助けを要求する人の求めを断っちゃ行けない」
(ってゆーよーな記述)って、あるんですよね。平常時で、検査の道具でも何
でもあるならハナシは別かもしれませんが、災害時のような何も無い所で、
重要な判断を迫られた時。。。常に完璧ができるのか。それを知りながら、
善意で行動する彼等の善意をどう、守ればいいのか。
これには、市民からのアプローチ、大切だと思います。

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あ、そうだ。
大切な事、書き忘れていました。

この訓練は、DMATの普通の隊員への訓練ではありません。
これから入る人への初心者への訓練だったそうです。

ホントに事故があった場合、いろいろすずめが突っ込んだような組織がくるわけじゃありませんから、ご心配されませんよう。
こんな訓練をする組織は、レベルの高いところですから。

問題は。。。
DMATやその他の意識の高い人々っていうのはほんの一部で、その他の多くがすずめの突っ込んだような問題があるかもしれない。。(無いかもしれないけど)ってことだと思います。
もっと、広がって欲しいです。


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