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2011年11月10日 (木)

障害者:初めて教育が機会均等になった

これは2007年の日記からの転載です。


昨夜は

ここの所ずっと関わらせていただいている日吉のK大の講演会、「特別支援教育の基本構想」
に行ってきた。講演者の方は文科省のその手の専門家。
カタイ話では。。。と、思いながら行ったのだが、普通はお役人さんはおっしゃらないような、フランクなお話しをされる方で、興味深く聞いた。
後の懇親会も少人数だったので。。。。。行政側が口にできない本音が盛りだくさんの夜だった。
今日はその個人的嗜好?に基づいた講演会/飲み会レポート。

特別支援教育。聞き慣れない言葉かもしれない。
平たく言って、障害者への教育という意味に近い。

この4月から、国の障害者への教育の姿勢が変わった。
その中の最も大きいものは、
「障害者も教育を受ける権利がある」
ということを、しっかりと形にしたところである。
教育基本法(この是非の問題はここではスルーするとして)の中に、「障害者基本法」として盛り込まれるまでは、障害者も教育を受けろとは明記されていなかったのだ。
これは、現実的に大きい。こうした条件整備あれば予算もつくのだ。

この流れは、世界的にも進みつつある。
日本は国連でも、障害者権利条約を採択した。これにもinclusive educational system が盛り込まれている。ちなみに国際法は憲法と法律の中間に位置するものという事だが、もし、教育基本法の中に「障害者の教育の機会」が盛り込まれていなければ法律の上位に、国連の法でこれが規定されてたことになる。(この問題はこれからの課題だというが)

という、日本が、障害者教育を歴史的にもないがしろにし、且つ、今日まで問題にならなかったことが、本当によく分かる。

なるほど。。というデータもある。
諸外国の特別支援学校に行っている子供の割合
イギリス1.2%
ドイツ 3.2%
オランダ 5%
それに対し、日本は0.5%。アメリカすら0.6%だ。
人口の中で、どれほどの特別支援が必要かというと明確ではないが、人口の中でイギリスと同じ割合にサポートが必要な子供がいるとしたら、その半分以下しか、特別支援教育を受けていないことになる。


さて、平たく言って、
この文科省の特別支援教育のありかたはどう、変わったか。
一つには、盲学校、聾学校、養護学校。。。などの括りが廃止されたことになる。
実際にはこれまでと同じように、盲学校の施設は視覚障害のニーズを中心に行われることになるのだろうが、制度的にはどんな障害でも対応することになるのだ。人口の多い都市部では、盲学校、養護学校と分かれているのも良いが、人口の少ない地域では、「デパート的」な施設の方が合理的でもある。
もう一つは、「重複障害」の問題だ。比較的重い身体障害の人には、視覚障害や発達障害を伴う場合も多い。それを今までは、盲学校、聾学校なども分担して分けてきた。そういうボーダーがなくなるわけだ。

そして、それに対する国の具体的対応。
地方交付税として、全国規模で「特別支援教育支援員(小中学校)の配置」を行う。地方交付税として、約250億円を投入する。これは21000人に相当し、20年度には3万人とする予定だ。
しかし、ここにも問題はあって、こうした地方財政措置、地方の一般会計に組み入れられてしまう。橋や道路を作るのにも使われる可能性もあってしまうという。


ちょっと長くなってしまったので、続きは明日


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きのうの続き

こうして日本の教育の中に、少しずつ障害者への配慮が進みつつある。
講師のAI氏が文科省で関わり始めてから実に8年。ようやく、形になったのだ。
彼のこれまでの地道な尽力には頭が下がるものがある。
文科省が出す、「通知」の中にも、その熱い気持ちが、具体的に盛り込まれている。
たとえば、「校長が責任を持つ事」「学校全体で取り組み、特定の教員の負担にならないようにすること」「いじめの問題」「特別支援学校は、地域をカバーする事」
きちんと、成分化され、浸透させなくては実現されない事はたくさんある。
マスコミもジャーナリストも、そういう事を伝えて欲しいものだ。アラ探しに始終しても、社会は変わらない。ヘンな方へ行くばかりだ。本当に良い方向へ変えたいと思ったら、こういう事こそ、伝えるべきではないだろうか。

確かに、今、変わりつつある。

特に、今回、留意されたのは、発達障害についてだ。

こういうデータもある。
LD(学習障害)ADHD(注意欠陥/多動性障害)高次機能自閉症の状況を示す全国的な調査
(平成13?14年度) 6.3%
相当多いのが分かる。
そして、このような実態もある。
宇都宮市の場合、不登校児の46%が発達障害を持っているという。
データとしては無いが、こうした不登校児には、ニートになっていく者もいるとすると、ニートの若者の中にも、そういう障害を持っている者も含まれるのではないか。しかも、小学校、中学と、教育の機会も与えられる事無く。。。。

この問題の大きさが分かる。

ひとつの具体的対応として、「早期の発見」があるという。しかし、当事者の受容が難しく、3歳ではまだ分からない、5歳でも分からない。。。そんな抵抗もあるそうだ。そこを、何回もの網をかけて抽出してゆき、支援をしてゆく。
更に、今回の発達障害者支援法では、その多様な状況、ニーズを考えて、発達障害の種類を広げ、結果的に言語などの障害が出現しているものなど、広くカバーするように明記されている。そして更には、こうした子供たちに対する配慮を、小中学校のみならず、高等学校、大学でも配慮するものとする。と記されている。
(これは飲み会のネタだが。。。今回の講演を主催している「日吉のK大」のような所でも、取り組みが始まろうとしている。大学全入の時代、どうにかして行きたいという一つの推進力になるに違いない。)

現場で大きな力になりそうなのは、特別支援学校(今までは養護学校と呼ばれていた所かもしれない)の存在だ。今までは在校生徒への配慮をしてきたわけだが、「センター機能」を明記した。そういう学校へ入れるほどではない子供たちへのサポートも行ってもらえる訳だ。
このような問題に専門家の力は大きい。頻繁に「相談会」を行っている所も多いそうだ。スタッフが年間何千回もの相談会をこなす所もあるという。

すずめ的解釈だが。。。
今までも、区によってはこうした施設と連携して、サポートを行ってきた。視覚障害などは、医療機関(その手の問題に詳しい人のいる所に限られるが)が、盲学校などの相談窓口につなげてきた。しかし、発達障害などは、医療機関はあまり利用しないのではないだろうか。また、学校などへ相談したく無い人もいるだろう。そんな場合でも、個別に地域の施設に相談に行けるのではと思った。また、そういう施設もユーザに育てられていくと思う。どんどん利用者が増えれば、スタッフも学んでいける。乏しいすずめの経験では、そういう専門家の人たちからは、家族の問題もよく聞く。実は離婚や経済的問題を抱えている人も多いそうだ。表立っては言えないが、心の中ではそういうデリケートな問題に配慮しながら支援してくれる人も多いのではないかと思う。今までは敷居が高かったかもしれないが、地域の中で、もっと気軽な場所になって行くと良いのではないだろうか。


整備されつつある、特別支援教育のシステム。しかし、ここでカバーされるのは、知的障害を伴うものに限られる。

たとえば、アスペルガーや多動でIQが高い者は、その範疇ではない。周りとうまくやっていけない為、不登校になっても行くところは無いのだ。
会場にも、12歳のアスペルガーの子供の母親が来ていた。こうした子供にはいろんなパターンがある。その子の場合は「人が好きなタイプ」。障害者のサポートグループなどもあって、行くこともあるが、「人の嫌いなタイプ」のアスペルガーの子と相容れないので、トラブルになってしまう。子供同士、傷つけ合ってしまうのだ。しかし、IQが高い場合、そのような子供の受け皿は無い。

という中での内緒の話。
K区では、そういう学校に少なからず、そういう子供が通っているという。
受け皿が無い今、親たちも裏技を使うしかないのだ。整備が進む中、現在でも特別支援教育の施設には一人の子供に平均1.5人の先生がついている。一般学校ではそんな環境は無い。アスペルガーの子も手厚い教育が受けられる。

講演の後の質問には、何人かの、真摯な質問/要望が寄せられた。

父親の理解度の問題もある。
6歳のやはりアスペルガーの子供のお父さんからの指摘もあった。
お父さんの理解をもっと高める方策はないものか。
アスペルガーのようなあまり明確ではないものの場合、母親は受容しても、父親はなかなか否定的だったりするそうだ。特に、お父さんが似ている場合もあるという。「僕もこんな感じだった。」と。そこでサポートを受けようとしても、受けられないそうだ。

AI氏は言う。
「みなさん、そういう、要望、あったら、是非、国に投書してください。2年後にこの法律の見直しが行われる。その時に、どうにか盛り込みたい。」
飲み会の時のこういった話にも、そういう問題を裏からどうやって動かすか。。。生々しい具体的な話にもなった。どうにかして、変えて行こうとする情熱が伝わる。

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