« 障害者の幅 2010年01月11日14:38 | トップページ | 粘菌の記事に意義有り »

2011年11月23日 (水)

LVの視覚特性を考えたユニバーサルデザイン

2010年01月15日10:19


上のタイトル、長くなり過ぎちゃったんでもいちど書くと
ロービジョンの視覚特性を利用したユニバーサルデザイン

っていう、ケーススタディのご紹介。
すずめが最近、やった仕事。


先ず、最初に。

ユニバーサルデザインの例というと、何を思い浮かべるだろうか。

駅のスロープ、シャンプーリンスの表示、いろんなトコの点字表示、音声でしゃべるエレベータ...


基本的なコトを言うと、
まだ、世の中でこのユニバーサルデザインと言う言葉がメジャーで無い頃、すずめたちは「共用品」という言葉を使っていた。
共用品の定義は、より多くの人が使える製品、サービス。すべての人が使えるという事は車椅子や点字などは特定の人用のものなので含まれない。しかし、点字表記のついた券売機は目が見えなくても使えるので、共用品になる。

さて、昨今、有名になったユニバーサルデザインだが、
思い浮かべるものを分類してみて欲しい。

スロープ 駅の券売機  ...施設等の設計
シャンプーリンスの表示、斜めドラム洗濯機 ...立体物のデザイン
アクセシビリティに配慮されたホームページ....ウェブ

そういう中に、グラフィックデザイン/平面のデザインは無い。
本や、雑誌、広告などは聞かない。
新聞は多少、文字が大きくなっている。これはユニバーサルデザイン的配慮と言って良いかもしれない。しかし、その他の例はあまりない。
ひとつ、何人かの方は思いつくだろう。
大活字の本
でも...
大活字の本は、専用品だ。何倍もの大きな文字で印字されるため、分厚い本になり、普通の本が上下2冊になったりする。
多少大きな文字が良いと思う人は多いかもしれないが、ここまでの大きさはちょっと必要がないだろう。デメリットも大きい。
(もちろん、すずめは大活字さんの本の価値を否定するもんじゃない。これはこれで素晴らしい)

しかし...とにかくグラフィックのユニバーサルデザインって、(あんまり)無い。
なぜか。

なぜかの前に、その有効性を考えたい。
かつて、共用品が行った高齢者の不便さ調査では、高齢者が最も不便さを感じるもののトップに、「文字などの見えにくさ」があった。
また、人が始めて「老い」を意識するのは、やはり書物などの見えにくさを意識した時だという。
そして、その年齢は、45歳位である。なぜなら、初めて老眼鏡を買った年齢が最も多いのは、45才なのである。更には、この年齢層、45歳以上の人間は、日本の全人口の半数に当たる。

なので、本や広告等の印刷物のユニバーサルデザイン化は求められるはずである。


だがしかし...
ユニバーサルデザインの集まりがあっても、グラフィックデザイナは何人もいない。ほとんどがプロダクトや建築設計系の人たちだ。
ほとんどって、ホントにマジな話、すずめと、あとMさんと。。。Fさん??ホント、いない。
なぜか...

グラフィックは企業の経済活動に直結しているからだ。本の字が大きくなって、一冊の本が上下巻になったら、値段は倍。絶対売れない。大きな文字の全然イケてない雑誌なんて、買わない。いくら見易くたって、ダサっていう広告には、特殊なヒト以外、だ~れもホントは引かれない。ああ良いですネっとか、美談にはのるかもしれないけど、少なくとも、それで買いたい気持ちになったりしない。
そして、グラフィックの成果は、即座に売り上げに反映する。だから、美談でもクサイ広告なんて怖くて作れないのだ。

しかし、駅のスロープは違う。それによって運賃が高くなったりしないなら、誰も文句を言わない。シャンプーもギザギザがついていたって、メディアが美談で報道してくれるメリットこそあれ、それが売り上げに響いたりしない。
だけど、たとえば、音声表示(しゃべる家電とかね)によって、1000円でも高くなるなら、話は別。みんな買わなくなる。だから、そういうモノは作らない。今までも、ユニバーサルデザインの流行にのって、音声チップを搭載した家電はいっぱい出たが、廃盤になってるのもある。(新発売されるのには気づくけど、こっそり売らなくなるのには気づかないよね)


っていうコトはこれまでも何度も日記に書いたネタなんだけど。

例によって長くなったので、続きは明日。


-----



さて、
本題。機能の続き
すずめのグラフィックユニバーサル
ロービジョンの視覚特性を分析した、日本で始めての試み♪


先ずは、サンプル。
某アサクラメガネさんのカタログ。

マイミクさんには、この業界の方も多いんで、説明は不要かもしれない。
そして、アサクラメガネとぐぐれば、別にすずめがURLとか紹介するまでもなく、
一目瞭然に、色々出て来るんでここで書いてもしょうがないんだけど。
メガネ屋さんなんだけど、某Yさんてヒトは研究者としてもすっごく有名で、いろんな活動をしてる。
東京にはロービジョンケアをする医療機関はたくさんあるが、地方には無い。その拠点となってるのがメガネ屋さんだったりするのだが、そのダントツ、ピカイチがアサクラメガネだ。

っていうのがあるんだけど。

その、某アサクラメガネさんのカタログだ。


上のは普通のページ。


ざっと見た印象、どうだろうか。
普通の印刷物と変わらないのではないだろうか。
もちろん、文字は12ポイント。一般の書籍が9から11ポイント位であるとすると、多少、大きい。
だけど、そんなバカでかいわけじゃない。

まあ、言えるのは、見出し文字はちょい、バカでかい。それと、重い。
だけど、本文とのコントラストがあってキリッと締まりが有るとも言える。

メガネ屋さんのカタログ、特に、アサクラメガネのものは、ロービジョンの人も見る。
だから文字を大きくしたいというのは当たり前なのだが、印象として、世の中にある普通のデザインと遜色無いものであって欲しい。
それは至極当たり前のことだ。老眼だって近眼だってロービジョンだって、ダサイものはNGだ。

という意味で、このカタログ、
このページだけでなく、ざっと見て、特殊な印刷物とは気づかないはず。


でも、実は中にはいっぱい、いろんな仕掛けをしてある。
それを自慢したい。

まず、表紙。

何の変哲も無い、フツーの地味なデザインなのだが...
地色を真っ黒にしている。
そして、グロスコートPPというフィルムを貼っているので、ピッカピカ。
この加工は印刷工程で比較的安いものだ。印刷物はお金さえかければ何でもいろんな工夫ができるわけだが、いつもそんなバブリーな予算があるワケじゃない。っていうか、そんなの稀だ。グロスコートPPは、値段にして、一冊10円程のコストアップ。(もちろんロットによって違う)これで、わあ、ピッカピカじゃん。って感じになる。それだけじゃない。水をこぼしてもオッケー(中ページはダメだけどね)汚しても水で拭けば落ちる。
このカタログは使い捨てじゃない情報を満載したので、こういう素材は贅沢じゃない。

そして、地色を黒にした理由。
家庭の中で、机の上、書類の間、リビング...そんな所において、四角い黒い存在として目立たせるため。
もし、ぼんやりとしか見えなかった場合、表題なんて見えない。だから、できるだけ、四角い大きな形として認知できるように配慮した。アレ?どこに置いたっけ?見渡して、真っ黒い視角がぼんやりみえれば、もしくは、小さな視界を真っ黒な物体が横切れば、アサクラのカタログだヨ。手に取れば、見えるでしょ。
ってデザインだ。
もちろん、タイトルや写真は見えた方が良い。だけど、これは一般書籍じゃない。他にたくさん並んだ本の中から選ぶシチュエーションは考えられない。だったら、表紙のアサクラメガネってうタイトルが見える/読めることはそんなに大切じゃないのだ。手に取った時点で、ユーザは、それが何なのか、分かるからだ。

さて、明日は本文のデザインについて。


(申し訳ないけど、サンプルの写真は、いろんな事情で小さくしてます)
後で紹介するけど、本当はアサクラメガネとググれば出て来て、送料込みで500円で販売してます。ご興味ありましたら。(って販売促進してるわけじゃないです..詳細は後で書きますけど)


さて、また続き

本文のデザイン、先ず、特徴的なのは、左側の黒い帯だ。

ロービジョンの中には、羞明を感じる人もいる。
明るい所で、普通以上にまぶしい。パソコンの画面もそうだ。そして、白い紙にさえ、まぶしさを感じる人もいる。(ただし、すべての人がそうってワケじゃない)
そこで、よくあるのが、黒地に白の印刷。

しかし、一般の印刷物で、黒地の印刷なんて難しい。
だってインクがいっぱい必要になる。それだけじゃない、インクをべったり紙に塗るわけだから、裏に写る。だから紙質も厚くしなければならない。更には、印刷の工程では紙を重ねていくわけだから、汚れやすい。また、オフセット印刷の機械の構造上、多量のインクを一カ所に流すのは印刷の劣化を起こしやすいのだ。白抜きの文字も、コンディションによってはつぶれたり、かすれたりしてしまったりする。だから、表紙や数ページやそこら、黒地に白っての位だったら良い。だけど全ページ黒地だなんて、印刷屋さんにはばかやろーなデザインってコトになるだろう。
本当は印刷工場に対して、デザイナは「そんなコトはけしからん!どんなに不良率が高くてもちゃんと印刷せよっ!」っと言えるワケだが。。。そういうのって、どーよ。デザイナも無知すぎない?ちゃんと印刷の事も考えてデザインしないといけないよね。場合によっては、コストになって跳ね返るのだ。

だから...すずめはこの「黒地」っていうのを、左に帯として使った。

これによって、この見開きのデザイン。ぼんやりとしか見えなくてもどっちが上だか分かる。
そして、机の上で開いていても、どこに黒い帯があるか分かる。

さっきから、「ぼんやりと、本がどこにあるか黒ければ分かる」
なんて書いて来たが...もしかして、???っと思った方はいらっしゃらないだろうか?
本を四角い物体としか認知できず、ページのどっちが上か分からないなんてヒトが、本を読めるのか?
っと。


ロービジョンには様々な視力の状態の人が含まれる。たとえば中心には非常に良い視覚があるけど視野が10円玉位の大きさしか無い人、近くに寄せれば分かる人、ルーペや拡大読書器を読める人...様々だ。
だから、先ず、本を読んでもらう。じゃなく、
本の読みたい所まで、どう、導線を引き、アクセスしやすくするか。
それが、重要なのだ。


さて、本のページまでのアクセスはこれで整った。

次は本文までのアクセスだ。

------

ちなみに、上のページは、まぶしさを感じる人の為の特別な眼鏡、
遮光眼鏡の為のレンズの透過率だ。

コレ、あんまりにもオタクな内容なんだけど。。。

某東海光学さんと、某HOYAさんのレンズ、
もちろん、メーカーは別なので、別々のカタログで見ないといけない。
なので、同じ透過率のグラフも、別の軸になっていて、比べられない。
だから、このグラフ、すずめが一個一個同じスケール上に引き直したモノ。
これなら、どのレンズがどの辺の色をカットするか、メーカーを越えて、一度に比べられるよね。
っていう、分かるヒトにしか通じない、マイナーなサービスもしちゃってる
ねえ、こんなコト、今まで(自主的に)やってくれるヒトなんて、いなかったでしょ。


-----

二つ前の日記の続き


さて、本のページまでのアクセスはこれで整った。

次は本文までのアクセスだ。


---

って言うのの続き


この黒い帯には、見開きの左右ページに何が書いてあるか、タイトルだけ列挙している。
帯の上の方に左ページのタイトルを下半分に右ページのタイトルを書いている。
この黒い帯にそって目玉を動かして、見て行けば、左右のページに何が書いてあるのか分かるのだ。
ルーペや拡大読書器は、文字を拡大してくれるわけだが、もちろん、視野が限られる。視力によって拡大率が違うので、その幅がどれほどか人によって違うが、自分が見える視野も限られるので、大きくすれば良いってモンじゃない。
なので、この程度にしたのだが。。。この黒い帯にそって、文字を追いながらルーペや目玉を縦に動かして読むことを想定して配置した。

ロービジョンだと読むことに不自由を感じる人は多い。
すずめは本文も心を込めて書いた。是非、全部読んで欲しいが、本当は必要な部分だけを読めば良いのだ。
だから、ここで、コレが読みたいと思って、それが上の方に書いてある項目だったら、左ページの上の方を、下の方だったら左ページの真ん中あたり?半分より下だったら右ページを探せば良い。

っていうコトで、
次。

白い地の本文部分。

ほんとうはおしゃれにしたかったんだけど、この見出しだけはバカでかくしている。
まあ、締まったデザインとも見えるよね。
文字にはいろんな太さがある。

W1 エクストラライト
W2 ライト
W3 レギュラー
W4 ミディアム
W5 デミボールド
W6 ボールド
W7 へヴィ
W8 ウルトラヘヴィ

って感じに8種類位ある。(フォントによって呼び方が違う)

で、この本文のいっぱいある文字は、その中のヒラギノゴシック W3 (レギュラー)を使用している。
普通明朝体などの本文は、W2 ライト辺を使うので、多少太いが、不自然さを感じさせないギリギリの限界がここまでかなと思う。
これ以上になると、「わっ、太い字!」って印象になるし、画数の多い漢字はつぶれてしまったりする。

そして、原則的に12ポイントの大きさ。
これも一般の印刷物のボディタイプ(本文等の文章用)としては大きい。だけど、ここまでだったら、ギリギリ許せるかもしれない。
その限界。
普通は、文字の小さめの雑誌で、9ポイント、ちょい、大きいかなって思えるので11ポイント位が使われている。

で、
バカでかい感じのする、見出しは30ポイントだ。しかも、W6 のボールド。12 vs 30と、コントラストをつけて見分けをつきやすくした。


もう一つ
本文の中、読んで欲しい文言は、すべて白地に黒のゴシック体にしている。
中ページには、薄いブルーで、傾けたような明朝体もあるが、これは読まなくても、通じる内容だ。
よく、赤の方が目立つなんて思われてる方も多いが、それは、周りに赤い色が無い時。ロービジョンの人の中には色を識別できない人も多い。
白地に黒が一番コントラスト(輝度の差)が大きい。
だから、ここでは、必要な情報のすべてを白地に黒にしている。
その他の色の文字は読まなくても通じる。

全部を読んでもらうのではなく、
読むべき所だけが、どこか分かる。
それがグラフィックのユニバーサルデザインのキモだと思う。


----

いろいろトラブったけど、
4つ前?の日記の続き

さて、すずめの仕掛けは更にある。

本文の言葉遣い。
できるだけ画数の多い言葉を避けた。

たとえば メガネ vs 眼鏡
もちろん、メガネにしたが、遮光眼鏡というような特殊な語はそのまま。
文章の書き方も、できるだけ平易にした。
こういうカタログの文章だと、かなり華やかな敬語を使が使われたりする。だが「おっしゃいます」など、ひらがなにしても文字数が多い。
こういう言い回しなども、できるだけ避けた。
更には、普通の言葉遣いに関しても、できるだけ漢字を使わないようにした。もちろん、漢字の方が分かりやすい場合も多いし、ひらがなだけでは誤読を誘う場合もある。ひらがな、漢字の使い分けは、あえてルールを決めず、文章の前後のつながりの中で自然かどうか、何人かの人にチェックしてもらい、違和感があれば、検討する形にしている。

実は、こうやって組んで行っても、文字量の多さの問題はあった。本当は、すずめはいつもなら、もっと行間を明けるのだが、今回は、この12ポイントを維持するため、また、文字がかたまりとして、どこにあるか目で分類できるよう、行間は「ベタ」。マシンの中に入っている「自動」の設定にしている。一般書籍程文字数が多く無く、間に写真が入っているので、バラけている。だから行間が開いていると、文字が塊に見えなくなってしまうのだ。
迷う所だ。行間が空いていた方が列を目で追いやすいのだが、そうすると、1ページ辺に載せられる文字数が限られてくることになる。
っと、考え、サンプルでも検討した上、「自動」の設定にしているのだが、どうだろう。今後のレスポンスを見て考えたいところではある。

でもって、こういう工夫を最初のページに説明した。
世の中のいろんなモノ。作り手はたくさんの工夫をしてるが、使い手がいつもそれに一発で気づくとは限らない。何回か使っていて、ああ、こうなってたのかと、分かる時もある。でもそんなのは不便だ。だから、このカタログは、最初のページに、こういった工夫について、載せた。それによって、目の動かし方が分かるよね。

----


一つ前のつづき。
しつこく続きます


さて、本文のページの内容。
イロイロデザイナにしか思いつかないコト、入れている。


先ず、ロービジョンケアストーリー


医療にしても、こういうサポートにしても、本当は、治療やケアが有りき。エビデンスがベースじゃなく、人の人生が最初にある。いろんなものが、それに、どう寄り添っていけるか。それが最も重要なことなのだ。
そこで、そういう「物語」を入れた。

見たいものは人それぞれ違う。そしてその見たいものの背景にはその人の物語がある。
例えば...PCも使える。何でも手伝ってくれる人がいる。自分でも何でもできるから、別に不自由しない。それでも、見たいものがある。それは、お孫さんの顔。娘の小さい頃に似ているとか、目もとがかわいいとか、そういうのは、誰かに代わってもらえない。
その経験は、何ものにも代え難い。
サックスを吹くのが趣味という男性。メガネで視力は出る。だけど、サックスの練習の為には、楽譜を何センチか、自分の決めた距離で読めなければいけない。アサクラさんはその、楽譜の位置に合わせて、練習の姿勢に合わせてメガネを作った。その人の、その用途だけのためのメガネ。まさに身体の一部で、人生の一部だ。

そういうのを各項目の最初に入れた。

この物語のネタになったのは、
アサクラさんの一人一人のスタッフが、
1人1人のユーザさんに、寄り添って、それで実際に経験したものだ。
(個人情報のため、一部背景等を変えている)
それから、この業界に冠たるアサクラならではの長年の蓄積。
このキーワードで引くと、ネットにはその手の分野の学術研究がひっかかる。
ネタにしたもののいくつかはこういう事例報告のもある。
全盲に近いカテゴリーの人でも新聞をスラスラ読んじゃう。
そんな魔法がある。ウソじゃない。だって、論文になってるんだもん。

昨今、メガネは安く売ってるお店もある。
どう違うの?
と聞くと、
メガネが、バンドエイドとかと同じようなものだったら、そういう安いものでも良いと思う。
だけど、もし、身体の一部として使うなら(そしてロービジョンの人はまさにそうだ)
100円均一は使わないよね。
なるほど。まさに身体の一部。そして人生の一部だ。

そして、ここにももう一つ、仕掛けがある。
実は「カタログ」としてはこの部分、読まなくても良いものだ。(せっかくだから読んで欲しいけどね)
読んで欲しい本文は白地に黒の12ポイントゴシック体だ。だけど、ここは読まなくても良いので、わざと、11ポイントの明朝体の細いタイプにしている。(ヒラギノ明朝ライト)
この明朝の11ポイントっていうのは、たとえば、そんなに小さい文字じゃない雑誌とか、単行本とか、本文に多用される文字の大きさが概ねこの位だ。だから、この文章が読めるということは、まあ、そこそこ、日常生活の中でいろんなものが読めるということになる。そういう目安に使って欲しいと、こういう部分を作ってみた。もし、この部分を読むのが不自由なら、もうちょっと拡大率の大きいルーペかメガネを買う事も考えられるのかも?


写真たち

すずめは山を歩いたり、いろんな写真を撮ったりするのが好きだ。
マイミクさんにはプロの写真家さんもいらっしゃる中、すずめのは素人写真だけど。

このカタログには、そういういろんな写真を散りばめた。
きっと知ってる人が見れば分かる。例えば、このページに見えてる白い花は5ミリ程のもの。箱根で撮ったキクザキイチゲの仲間。知っている人にしか伝わらないけど、こんな小さな花、昔は見えたよね。それを思い出してもらえないかな。そう、思って載せた。山歩きを知ってる人にだけ伝われば良いと思って。それから、ツツジ。下の写真は山桜だ。これなら、誰にでも分かるよね。きっと思い出もあるはず。信号機。これが見えなくて、外へ一人で出るのを諦めた人もいるかもしれない。

上の赤ちゃんの写真の横にあるのは、苺の絵。ね、絵を描くのを諦めた人、いない?
クッキーを作ったりとかも。これは去年のクリスマスにすずめが焼いたクッキー。女の子の形、ちょっとおしゃれでしょう?
その右側にあるのは、ウサギの鍋敷き?かわいいでしょ。すずめはウサギ飼ってるからうさぎモノは隙だったりするのだ。1650円だって。でも、値段が見えなくて失敗したっていう人、多いよね。

そういうのを、いろんなページに説明無く、入れ込んでいる。
説明はそれだけで読みなさいと強要してしまうことになる。だから、気がつかない人には単なる「飾り」で良い。分かる人にだけ感じてもらえれば良い。そういうのがいろんなページに溢れている。もしかして、見えれば人生を豊かにしてくれるかもしれない。そしてそれは求めれば、見えるかもしれないものたちなのだ。


その他、写真絡みの工夫
いくつかの例外を除いて、商品の写真はどれも、白地に切り抜きで載せた。
四角い背景のある写真は四角い塊として見えてしまう。それから製品によって適切な背景色は違う。なので、ここでは、基本的にすべてを製品の形を切り抜いて白地に入れた。全く印刷の無い部分に載せられるので、この方がアウトラインを認知しやすい。

シミュレーション写真

写真たち。いくつかは画像加工でいじっている。
たとえば、この上の山の写真。草津のから釜。文字が乗っている所は白く飛んでいる。(前の説明のツツジの写真も実はそうだ)
人にはいろんな見え方があって、それを他の人が知ることはできないので、あなたの目は、こう見えてるはずでしょう。と言ったらウソになる。
しかし、当たらずとも遠からず。まあ、こんなのに近い?そういう画像処理をいろいろやった写真も混ぜてある。
例えば、明る所がまぶしい。暗い所は真っ暗。まぶしいから、全体がぼんやり霞んでしまう。パソコンの画面さえまぶしい。。。
山の写真の右下の写真は羽田空港へ続く駅構内。自ら光りを発する看板やライトなどのグレアな光源はまぶしい。だけどそれだけじゃなく、光は床にさえ反射してまぶしい。せっかくの明るい看板もにじんだように見えない。
人の視覚を取り出して客観化することはできない。だから、こう、見えてるんですっていうと、嘘になる。だけど、近いものがあると、その人がどう、不便か、分かるはずだ。
そんな写真も、いろいろ入れている。

カタログを見ながら
「お姉さんの目はこんな風に見えちゃうの」
ってなカンジに誰かに説明出来ると良いかなって。

----


複雑な情報整理 拡大読書器の説明

拡大読書器というのは、据え置き用、ポータブル型....いろいろあって、その機能もイロイロだ。
カタログでは、たくさんの選択肢の中から、自分に合ったものをピックアップするという分かりやすさが求められる。
そういう複雑な情報をどう、伝えるか。整理して考えた。
そこで「文字ピクト」
よく、いろんな所で絵文字/ピクトを見かける。
良いものはたくさんある。なのですべてを否定するものではないが、中には、これはイカガナモノカ。と思うものもある。「なぞなぞじゃん」って。
よーく見て、考えなきゃ分かんない物もよくあるよね。
ルーペや拡大読書器を使っても、すべてがクリアに見える分けじゃない人もいる中、そういうのはとても不便だ。電話のマークとか、覚えられるかもしれないけど、凡例と首っ引きで覚えなきゃいけないものは、使い物にならない。
その点、文字は便利だ。文字なら覚えてるので、ぼんやりしか見えなくても、類推がきく。

という事で、この複雑な拡大読書器の機能説明は、「ピクト風文字」にした。


そして、カタログには、この機能と、最小限度の情報記載に停めた。
読まなくても、見れば分かる表意だ。ぼんやり見て、黒い機能説明の四角が5つ並んでいるものの方が、3つのものより、高機能だ(まあ、だいたいって感じだけど)そんな大雑把な違いが分かったら、次はどう、違うか、そのピクト風文字の内容を見て、自分に必要な機能かどうか、チェックする。

そういう見方ができるようにしている。

更に...
このページの意図。
カタログは、うーん、やっぱし、文字、大きいよね。
っていう印象は拭えない大きさになっている。(基本サイズは12point)
しかし、これでもギリギリである人は多いだろう。
更に、拡大読書器を使おうという人はもっと不自由なはずだ。
だから、拡大読書器のページの文字は更に大きくしたかったのだが、
あまり大きくすると、ページに収まらないというのもあるが、普通の人に違和感がありすぎになる。
そこで、このページだけ、
「カード」のようなデザインにした。
文章のページではなく、図柄のようなもの。
うーん、そう思って「デカすぎ」ページへの違和感を減らしてくれるかどうかは、人によって違うし、ビミョーなセンかもしれないけど、すずめのキモチとしては、そういう意図でデザインしている。

もうひとつオマケ、

最初のページには、
文字の大きさサンプルを入れた。
ね、この中のどの文字が見えないか...それによって、どの拡大率を持つ拡大読書器が必要か、チェックすることができる。

それにしてもさあ、すごいよね。
こんな大きさの文字しか見えない人でも、
すらすら新聞読めちゃう道具があるってコト。
PCにも繋げられるタイプもあるんで、他の事にも使えるかも?

----


さて続きは拡大読書器がらみでのオマケ

カタログには、豪華?なオマケがついてる。
「拡大読書器の説明書」だ。


拡大読書器はすっごく便利なツールで、コレが無くちゃいられないって人もいる。だけど、せっかく買っても、使い方を忘れちゃってしまい込んでる人も多いという。ちなみに、毎年、某都市でも100台以上が補助で売られているということだが、どれだけちゃんと使われているのか分からない。ちゃんと使えれば、ものすごく便利で介助なんて不要になる人もいるし、高価でもある機械なので、惜しい。
しかし、拡大読書器ってすっごく特殊な機械のため、ナント、説明書が付いていないのだ。
また習いに行かなきゃならない。
そこで、誰でも簡単に分かる説明書ができないかと思った。
それがこのページ


本当はアサクラさんにお願いすれば、このページの元になったYさんとすずめの研究発表した拡大読書器の説明書の元ネタが手に入るかもしれない。
元ネタは...
こういうイラストがもっとたくさん並んでる。

なぜか。。。

すずめ的イラストテク。


すずめ的
「読まなくても良い説明書」
説明書って、誰も読まないよね。
だけど、使い方の手順って分かんない人も多い。
特に、手順としてでなく、
動かない時、「なぜ?」って考える時、説明書を読む人もいる。
でもって、この「動かない」場合の原因って、
電源が入ってない
スイッチが入ってない
っていうコトが、よくあるのだ。

で、
すずめ的説明書には、この
「コンセントを入れます」
っていう説明さえ、イラスト入りで説明する。
コンセントの入れ方、図入りで説明されなきゃ分かんないヤツいる?
イナイ。

なぜか。
この説明書、文字でも書いてあるけど、
すべて、一つの手順に、一つのイラストを入れているからだ。
だから、説明用の文字を読まなくても、
イラストだけ目で追えば、手順が分かるのだ。
つまんない、『コンセントを入れます』だけでも。

そして、それ以外の細かいコトはできるだけ入れない。
全体像の把握に無関係なトリビア系説明は、別途、固めて入れる。

こういう説明書って、何か事故とかあると、問屋さんとかから、クレームが来る。
このクレーム対応の一環として、メーカーとしては、説明書に注意事項を入れる。説明書に入れたからカンベンねってコトだ。
だけどさあ、こういうのの中には、アリエナイっていうようなのも、ままあるのだ。
そういうの、全部読みなさいって言われた日にゃ、馬鹿馬鹿しくて破いちゃうよね。
だから、余程、危険で不可逆で無い限り、おしまいの注意事項の所に固めていれる。
ハイ、すずめも、こんな項目読むヒトは、余程のヒトだと思って書いてマス。
何万個も生産したって、一人も読まないんじゃないの?ハッキリ言って、読むヤツいたら、おかしいよ。
だからこういう中で、重要なものは、別項目を作っていれる。
たとえば、表紙とか、セット内容(意外にココは見る人も多い)の所に。

っていうのが、すずめ的説明書。
この拡大読書器の説明書のオマケも、こういうテクで描いたんだけど。。。

でも、実は誌面の都合で、手順項目は割愛してるんだけどね。
概ね
1手順 1イラスト で表示してる。

でも、もっとゴージャスなのが欲しかったら、
去年?のロービジョン学会誌にアサクラさんが出してるんで、
個別にアクセスすれば、入手可能かも。


---

ってコトでね、
しつこく、間延びして続けて書いたシリーズのラスト。


-------

あ、そうそう、もう一つ、オマケもついてる。
福祉関係の情報集。チェックリスト付き。
こういう福祉関係の情報も、ネットにたくさん散らばってるんだけど、一つに取りまとめたのっていうのはなかなか無い。(あるかもしれないけど、すずめでも見つかんない)
なので、ここにまとめたヨってもの。


さて、もひとつ、オマケの企みがある。
実は本文もすずめが心をこめて描いている。
その時、声で読んでチェックした。すずめの口調で。

これ、声で録音して、音声でも出したいと思ってる。
すずめ、実は声のオシゴト、してたことがあって、
どうせなら、自分でやりたいななんて思っちゃったり。


っというようなのを出して、何ヶ月か。
反響はとっても良い。

ウワサ?に聞く所によると。。。

某大学の先生から感激の電話があったそうだ。
「コレ、カタログじゃありません!教科書です!」
学生の教科書につかいたいので、コピーしても良いかって。
うれしいじゃあ~りませんか。
分かる人には分かるんだ。

すずめたちは、ロービジョンのバイブルを作りたかった。
専門家だけが読めるものじゃなくて、
普通の人も、
手軽に買えて、
手軽に読めるもの。
それだけじゃなく、
本当に、人生を変える機能のある情報。
ルーペだとか遮光眼鏡が良いなんて言ったって、どこに売ってるのさ。
拡大読書器って、具体的にどれが良いのさ。
それが分からなきゃ、「字に描いた餅」だ。
だから、ちゃんと、餅まで手が届く情報のバイブルが作りたかったのだ。
ここで見つければ、
どうにかすれば、手に届く。
意外にそんなのが、ネットにさえ無い。
だから、作りたかった。


さて、このカタログ、
宣伝っぽくなっちゃうから、あえて載せないけど、
(どうせ、その手のヒトはみんな知ってるだろうし)
アサクラメガネのサイトから入手できる。(ぐぐってみてね)
一部、500円

実はすずめは、このカタログの印刷費、知ってる。
994円だったか。。。
プラス、宅急便費用も入れると1000円は越えてる。

500円っていうのは送料込みだ。っていうか、送料に当てたいという値段。

東京やいくつかの都市には、ロービジョン外来なんかをやってる病院がたくさんある。眼科さんも。
だけど...

ロービジョン学会のホームページで見て欲しい。
一軒も無い県もあるのだ。
県に一軒あったって、遠い。
目が不自由だともっと遠い。
だから、そういう人にこんな情報を届けてあげたい。
アサクラメガネは遠い所までカバーできないけど、
だけど、カタログで見つけて知れば、近くの普通の眼科さんで、どうにか対応してくれるかもしれない。
電話で相談すれば、どうにかできるかもしれない。。。
そういう力になりたい。
だから、
是非、届けてあげたい。

そういう思いを込めたカタログ。

たくさんの人に知って欲しい。
情報が、
人生を変えることもある。
そう、思うから。

|

« 障害者の幅 2010年01月11日14:38 | トップページ | 粘菌の記事に意義有り »

ユニバーサルデザイン/ロービジョン」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1210811/43114491

この記事へのトラックバック一覧です: LVの視覚特性を考えたユニバーサルデザイン:

« 障害者の幅 2010年01月11日14:38 | トップページ | 粘菌の記事に意義有り »