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2010年11月30日 (火)

ここまですべきだった/蒟蒻ゼリー

蒟蒻ゼリーの件について、1つ前の日記にこんなご指摘をいただいた。


>企業の製造物責任法(PL法)上の責任の有無が争点であり、判決ではこの時点で、商品に配慮はされていたとして棄却されています。設計上の欠陥、警告表示の欠陥、不適切な販売方法のいずれも認められないということのようです。

まさに、ここが、デザイナとしてすずめが最初に反感をもった所以だ。

この日記では、最初の重篤な事故、死亡事故が出て、国民生活センターから指摘された時点で、本来、こう、変えるべきだったと、デザイナとして思う具体例をあげてみたい。(本来は製品設計を抜本的に変えるべきだが、それが難しく、時間がかかるとしても、パッケージデザイン的に、変えるべき事はあった。)

裁判では問題に対して、「事故が発生した時点では、ここまでの大きさにしていたなら、許容範囲」としたわけだが、それは程度問題だ。
裁判官は、本来、どういう工夫ができたかというのが思いつかなかったのではないだろうか。


あの程度の表示を加えただけでは、「改善」とは呼べない。
なぜなら、本来、ここまでできるはずだから。ここまでできることは、どのデザイナでも分かり、あの程度では、それに手加減を加えたにすぎない。企業はそれを重々知っているはずだ。


ちなみに、現在、過去のデザインはこちら。

http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20090305

さて、
事故を起こしにくくするために、最小限、どこまでの事をすべきか。具体的に説明したい。

元のパッケージの問題点は、単に,警告表示だけのものではない。もちろん、警告表示は大きくすべきである。しかし、問題はそれだけではない。
パッケージデザイン自身が、危険性を想起させないデザインになっていることである。

蒟蒻ゼリーはダイエット食品であり、小さな子供に与えるべきではない。というバッシングもあった。ならば、おやつのゼリーではなく、ダイエット食品のような、人工的なデザインにすべきだ。また、価格設定も、主婦が日常の買い物として気軽にカゴに入れる価格帯では無くすべきだ。


現在のパッケージは果物の写真を使い、シズル感によって、健康的なおいしさを表現している。暖色/パステル系で親しみやすい。また,有機的なイメージはカラフルで生活感にも溢れている。更に、蒟蒻畑というロゴタイプは、丸みを持たせ、囲みの方形の角も丸めている。柔らかいデザインにすることによって、やさしいイメージを出している。
これが主に置かれる薬局には、言うまでも無く、医薬品やダイエットサプリメントが置かれる。それらのデザインは、もっと、シンプルで硬い。その中では、かなり、柔らかな親しみやすさがアピールできるだろう。
消費者は、この親しみやすく、健康的なパッケージの製品を、さぞ、安心して手に取ることだろう。油断してしまってもしかたがないとも言える。


さて、私だったら、どうするか。

先ず、パッケージイメージを抜本的に変える。(これはデザインクオリティを下げるという意味では無い)
ダイエット食品ということなら、あえて黒でも良いかもしれない。
そして、果物の写真は使わない。代わりに、ピクトグラムにした果物のイラストを用い、
例えば,英語のアルファベットをデザイン的には位置し、硬く、かっこいいスタイリッシュなデザインにする(たとえばお酒のような)。子供が手に取らないような。
同時に、ロゴタイプももっと、角のある、硬いものにする。
警告表示を大きくするのはもちろんであるが、もっと、短い単語を大きく表示し、補足説明を下に書く。警告マークも、もっと太いラインを使い、インパクトを強くする。

更には、このような店頭での山積み用の袋を止め、店内の棚に置いてもらえるよう、箱にする。
ただし、箱は環境保護の視点からのオーバーパッケージになるので、一箱あたりの量を現行の 3倍にし、定価も、800円程にする。(内容量が多くなれば、パッケージの環境負荷は小さくなる)

現在の価格帯は、ちょうど、子供が「おやつ」として食べるものと、同等だ。
たとえば、ポッキーチョコレートやポテトチップス他、主婦が気軽にカゴに入れる価格帯になっている。これでは注意喚起ができない。
黒っぽい、高級感のあるパッケージにし、値段を上げることによって、
主婦が気軽に日常的な意識で買ってしまうことを回避させる。


本当は、ここまでの事は、誰でも思いつく。(おそらく、もっと)
誰でも思いつく事を、彼らはしなかった。手を抜いた。

PL法の責任の有無は、程度問題だ。
消費者保護の意識の高い欧米では、このような判決はありえない。(ありえない以前に、販売禁止がされている。)
日本は、商業活動を、消費者保護より優先したのだろう。
それが、今回の地裁の裁判官の尺度だった。

PL法の責任の重さを測る尺度が、
高裁では違う可能性もあると思う。

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