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2010年11月12日 (金)

大原美術館

大原美術館。
子どもの頃から,何度、足を運んだろう。


私の西洋美術への理解は、まさに大原が原点。
印象派といえば、モネの印象ではなく、大原の「積み藁」
ボナールは猫のいる手すり、そのパープルの影
画家の名前イコール、大原の所蔵品だったりする。

倉敷紡績を経営していた、大原孫三郎の個人コレクション。
国立西洋が総理大臣の息子で、川崎造船の松方幸次郎のコレクションであり、その国家的規模と比べると、地方の財閥のスケールは小さいのかもしれないが、そこがまた、良い。
国立西洋には、さすがに世界に冠たる逸品が大量にあるが、ここ、大原美術館には、そういう有名作品は無い。世間的にはエルグレコの受胎告知ということになっているが、美術作品的にはどうだろう。もちろん、素晴らしい作品であることは間違い無いが。

それよりも、大原の良さは、そのバランスの取れたコレクションのありかただと思う。どこかに偏ることなく、ほどよく、コレクターの趣味を主張しながら、おおまかに、美術史の最もエキサイティングで面白い部分を見せてくれる。


印象派の前期から、後期、そしてフォービズム、ピカソまで。ふんわりとした流れ。
もちろん、エルグレコのような、古い名画を日本で見られるなんて、本当に奇跡のようなものかもしれない。だけど。。。そういうものじゃなく、もっと、こういう「普通の名画」を見られることに価値があると思う。


何年かぶりに行った大原は、展示の順番が、大きく変わっていた。

昔は、コローの小品はガラスケースに入っていて、その向かいにムンクがあり。。。だが、増築したらしく、昔より、ゆったり、壁に並んでかけてある。この方が見やすいといえば、見やすい。

この日は、ゆっくり何度も回ったので、何となく、中の職員の方と顔見知りになってしまった。
「今は、ほとんど、主立ったものはあるんですが、ピカソの鳥かごのだけ、貸し出してるんですよ。」
なるほど。ピカソは二点あって、一点は骸骨。それと、もう一点は鳥かご。
両方とも大きな作品だ。
美術館は、時々、海外も含めていろんな地域の企画展に作品を貸し出したりしている。去年、東京で見たゴーギャン展でも、見覚えのある作品があるとおもったら、大原の「かぐわしき大地 Delightful Land」だった。(このDelightful を『かぐわしき』と訳した人に感謝。子どもの頃の私の言語感覚に美しい言葉を与えてくれた)

http://www.ohara.or.jp/201001/jp/C/C3a07.html


大原は、子どものころから、何度も足を運び、ほとんど覚えてしまっている。
その中で、1つ、記憶に無い作品があった。

http://www.ohara.or.jp/201001/jp/C/C3a22.html

こんなのを覚えていないなんて、自分でも驚いてしまったのだが。。。
特殊に大きなものだったので、見そこねてしまっていたのだろうか?
(ただ、作品的には、それほどでもないとも言えるのだけど)

昔、一番、インパクトのあったのは、ムンクだった。
マドンナ。

http://xroads.virginia.edu/~MUSEUM/Armory/galleryK/K_197_245b.b.jpg

初めてこの作品の意味に気づいたのは、高校のころだろうか。
何か、言い知れない重く、暗い闇の存在に、眠れなかった。


意外に好きだったのは、セガンティーニだ。

http://www.ohara.or.jp/201001/jp/C/C3a12.html


あ、もっと好きだったのがあった。

ギュスタフ モローの雅歌

http://www.ohara.or.jp/201001/jp/C/C3a28.html

非常に小さい作品。しかも水彩だ。
モローは、こういう神話などをテーマにしたものを多く手がけている。程よいロマンチシズムが良い。(ロセッティとかのようにアニメ系でもない)
ちょうど、私が高校生のころ、実家で取っていた中国新聞で、モローの特集をやっていたのを、今でも覚えている。モローは画家としてよりも、教師として優れていた。彼の門下には、マルケやマティスなど、フォービズムの画家たちがたくさんいたのだった。古典派の門下が印象派をすっとばしてフォービズム!

昔も、このモローの小品は柱に埋められたガラスケースに入っていたのだが。。。

今は、4部屋目の入り口にある。
ちょうど、印象派の後期以降の部屋だ。そこに、師匠である、モロー。
本来は、印象派と同時代に分類されるべき所のはず。
そして、その真っ正面に、マチスの画家の娘。
そしてマルケの風景。


それを話すと、職員の方がおっしゃった。
「学芸員さんの、それぞれの思い入れがあるんですよ。たぶん、それを考えてらしたんでしょうね。」
うーん。わかるわかる!

おもしろくてしょうがない!

そうそう,特筆すべきは、
エルグレコの部屋ができたこと。
深いブルーの壁紙の部屋に、一点。
受胎告知。

うーん。確かにこのブルー。非常にマッチしてるんだけど、そして、もしかして、この作品に合う色を一色選べと言われたら、正しい選択の1つかもしれないけど
そんなドラスティックな色というか、解釈を、ヒトに押し付けてくる??

以前、東郷青児美術館のゴッホの後ろも、赤だったけどねえ。

それに、大原の良さって、このエルグレコをがっつり、1点っていうんじゃないと思うんだけどな。でも、まあ、確かに、コレクションの流れからは、ポストルネッサンスの作品は外れてるし。(そんなのまであったらすごいけどね)

ちなみに。。。このエルグレコの受胎告知。同様の作品は、世界各地にあるらしい。その中でも、大原のコレはマリアが美人だし、描き込みも良いので値打ち品ではあるけど。

大原には、この本館の他に、
昔の米蔵などを改造した、棟方志功館他がある。
床に面白い寄せ木を敷いていて、歩くと音がしたり、いろんなさりげない工夫がある。棟方志功は、ここで見たのが初めてだったので、そして、他ではほとんど見たことがなかったので、まさに、この展示館の建築のイメージが彼のイメージでもある。それに相応しい、良い館だ。

日本の所蔵品も非常に充実している。
青木繁

http://julian.cocolog-nifty.com/floral_muse/images/aoki_2.jpg

男の顔

ちょい、残念なのは、照明がテカってたこと。
(モンク、言っといた)

重要文化財の関根正二もある。

http://www.ohara.or.jp/201001/jp/C/C3b09.html

岸田劉生は本当は、「画家の妻」があったはずなんだけど、今回は
静物と麗子だけ。
画像、見つかんないけど、この静物が良い。


今回、増築されたところには、イマドキの現代ゲージツ家の作品もいっぱいあった。草間彌生とか、その手の。


いろんな意味で楽しめる大原美術館。
チャンスがあれば是非。

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