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2010年10月18日 (月)

精神病院/捨てたイタリア捨てるべきなのか日本

某月某日

精神病院の著作で有名な大熊氏のご講演、プラス、もちろん飲み会。

大熊和夫氏、どーせ、有名人だし、名前言っても良いよね。
彼は、そう、ゆきさまのモト。。。ってコトは書かないけど、

40年近く前、
朝日新聞の熱血記者だった彼は、
どうにか精神病院の取材をしたいと思った。中に入るにはいろんなルートがあるが。。。そのうち、「患者になって入るのって、意外に簡単」っていうのが分かった。

彼は「妻」と結託して、アル中に化けるコトにした。家中のお酒を全部飲み、それでも足りないので味醂まで飲んで、タクシーで病院へ。
「妻」は「このアル中亭主、病院へ入院させてください。」っと。(潜入先は長谷川病院)
結果、彼は2週間入院。それが、「ルポ精神病棟」となった。

そこで彼が見たのは、病院という監獄だった。
檻があり、「不潔部屋」というのがある。
そこでの「治療」は想像を越えたものだった。
入れられている人には、認知症のお年寄りもいた。

それから40年。
今は、どう、変わったのか。

大熊氏は

日本は重症の『精神病院病』に罹っているとおっしゃる。

彼の有名な著作に、
「精神病院を捨てたイタリア 捨てられない日本」
というのがある。(こういう本にしては珍しく6刷を重ねている)

イタリアは精神病院を廃止した。
そんな馬鹿な事ができるのだろうか。
大熊氏はおっしゃる。
僕もね、精神病院を無くすなんて、どういう事なんだろう。精神病院にも良いのと悪いのとがあって、悪いのを無くせば良いっていう事だって思ってたけど、そうじゃない。それじゃ駄目だっていうのが、イタリアに行って分かった。


イタリア精神保健改革の立役者は、精神科医フランコ・バザーリア。
パードヴァ大学の精神医学教室の教授からゴリツィア県立マニコミオ(イタリア語で精神病院のこと)の院長に転身。

1961年当時、精神科医が、患者に「自傷他害の疑い」をかけて有無を言わさず鉄格子のあちら側へ送り込んだり、強制治療を行うという「特権」を持っていた。バザーリアの運動の結果、1968年、イタリアの精神衛生法が部分改正。自由入院が許され、入院患者が半分以下になった。

入院患者を自由にしていくことによって、病気そのものも改善されていった。地域の支援拠点や患者たちの集会である「アッセンブレア」などの開催。。。
1978年には病院はほぼ空っぽになった。
センターは重い病人を在宅で支えるために、1975年以降、24時間、365日オープン。この「24時間、365日オープン」こそが、精神病院に代わる機能だった。
2001年の統計によると、イタリアの707カ所のセンターのうち「24時間、365日オープン」は50カ所。他はほぼすべて「12時間オープン、日曜祭日休み」。閉まっている夜間や休日は、総合病院内の精神科病棟が対応。

1978年5月、180号法がほぼ全会一致で国会を通った。
革命的な精神衛生法の根本概念をぶち壊す新法。精神衛生法は精神科医や精神病院に特殊な権力つまり強制入院・強制治療の権限を与えた法律だが、180号法は権限に大幅な制限を加え、強制入院させる先の病棟も消滅させた。


日本の精神保健福祉法(昔は精神衛生法と言った)によれば、精神科医は「自傷他害の疑い」を抱けば患者を有無を言わさず鉄格子の向うに放り込むことができる。これは、治安の責任を精神科医が担っていると言るが、180号法は、精神科医を治安の責任から解放したのだ。


この半年後、それまでの無秩序な医療供給体制(日本はまだこの状態で、精神病院は郊外の限られた地域に作られている)を根本から改革した国民保健改革法833号法(新医療法)を制定。国土(人口ざっと5500万)を約150の保健区に分割し、日本と同じ社会保険方式の保健予算を区住民の数に比例して分配した。

1994年、精神保健擁護3か年計画の大統領令が打ち出され、「精神保健に従事する職員の数やケア付きグループホームの数は、人口に比例した数の設置が義務つけられた.「98年末までにマニコミオを閉鎖できない州は予算の0・5%をカット」と州に圧力をかけ,翌年3月、保健大臣はイタリア半島からマニコミオ(精神病院)が完全に消えたことを宣言した。


結果的に、現在のイタリアに、精神病院は一部を除いて、無くなった。地域の支援センターが24時間、支援している。


ってのが、精神病院を捨てたイタリア。

-----

この講演会。
オーディエンスには、そうそうたるメンバーがズラリ。
普通はパネリストになっちゃう重鎮ばかり。


質問コーナーでは活発な意見交換がされた。
その中での興味深い質問(この方は一般医療従事者)
「では、もし、精神病院が無くなったら、今の認知症患者さんたちは、どこへ行くのですか?」
大熊氏:
それこそ、日本的な質問だなあと、思います。確かに、精神病院の入院患者の2割が認知症。
でも、認知症に必要なのは、ケアであって、精神科の「治療」では無いはず。
そういう人達を精神病院に入れるという発想そのものが、おかしい。

さて、飲み会では。。。
すずめは、某精神科医さんと某ジャーナリストさんと同席。
ちょい、訴えた。


実は、すずめんちの1軒隣に
そういう方が住んでいた

変な人だなあと思っていた。高齢のお母様と2人。お母様の方はキチンとした婦人で、時々、ご挨拶したり、雪かきをして差し上げたら、喜ばれたり。。。っていう交流はあったけど、
5,60歳?と思われる息子さん、Aさんの方は、ちょっと。。。
っていうか、あまりにヘンな人だった。
一年中同じ服。ものすごく臭い。たぶん、何年もお風呂に入っていない。その人が外へ出てると、遠くでも臭った。
それだけじゃない。我が家にとってものすごくイヤだったのは、隣家との狭い隙間を通路に使ってるのだ。敷地内だし、まさか人が通ると思っていなかった所で、姿を見た時は、ぞっとした。
慌てて、通り抜けができないように塞いだ。。。昼間いないので分からなかったけど、我が家の庭の周りにも入ってきているらしかった。

ところで。。。

我が家の一軒前のIさんは、とっても良いご家庭で、都心に珍しく、我が家の近所は結構、交流があったんだけど。。。Iさんを嫌ってるらしく、Aさんがよく怒鳴り散らしているのを見た。かなり、危険な人物に見えちゃう。どうしても。生活圏で考えると、正直、怖い。

何年か前、Aさんの高齢のお母様を最近見ないっていうコトになった。Iさんは先ず、行政の関係者を呼び、相談した。しかし、Aさんは拒否。最後に、警察を呼んで、瀕死のお母様を救出。でも、衰弱が激しく、何週間か後に亡くなったそうだ。
以来、その家は無人。
噂では、Aさんは精神病院に入っているんだそうだ。


さて。。。精神病院を無くしたら、
彼のような人は戻ってくる?

精神科医さんは。。。

確かに、問題だね。日本の場合、生活保護とか受けてれば、公的機関が接近する機会があるけど、その人みたいだと(都心の一戸建てに住む資産家)そういうのが一切無いからねえ。

でも、どうして、そんなに臭いのが気になるの?

うーん。確かに、刺されそうとか、そういうのじゃないけど。

地域に戻るって、そんな、近所が面倒見て欲しいって言う意味じゃないよ。
行政の地域のセンターが支援するとか、イタリアのように手厚くすれば、うまく行くんじゃないかな。

そうなんだろうか?

こういう問題、たとえば、さっきの講演で言えば、
「地域の偏見」とかっていう、概念的、抽象的な言葉になる。
だけど、その偏見って、
生活者にとっては、こういうコトなのだ。
部屋の中を覗かれたり、
臭かったり。。。
火の始末とか、どうなんだろうとか。。。
それは「偏見」って片付けられるものじゃない。
生活者にとって。

他にもいろんなお話があった。
薬の問題は大きい。
膨大な量が歯止めの無い中、処方され、それが大きな収入源になっている。
薬で朦朧となった患者達はおとなしく、扱いやすくなる。
こういうのを、どう、辞めさせて行くか。

今でも精神病院の問題は、ある。でも、職員がそれを暴いていかない。
もっと、声をあげていくべきじゃないか。

---

ところで。。。
大熊氏は、ピザ作りの達人だとか。
長野までピザ食べに行きたくなっちゃいそう。

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コメント

その大熊氏は、ピザが好きで、精神病院廃止という闘争に興味を持ったのですか?

僕も大熊氏の著書を読みました。自分がイタリア語まで勉強してしまう強度のイタリア好きなものですから、学んだイタリア語を生かす道はないものかと考え、イタリアの社会や政治に関する本や資料を手当たり次第に読みまくり、これらの資料の基になった原文を探し出して翻訳してあわよくばいっぱしの研究者として名をあげよう、と思っていました。

イタリアの社会や政治の研究者は、はじめっから『社会派』だったのかそれとも文化や芸術に魅せられた結果社会や政治にまで関心が及んだのか、どっちなんでしょうか…

投稿: | 2013年7月 4日 (木) 19時11分

コメントありがとうございます。
大熊氏。。。ピザが先かバザーリアが先か。。。

バザーリアかなって、気がします。

仕事を辞めて、
長野に引っ越して。。。っていう、理想の人生。
いいなって、思います。
人物的にも素敵だし。

投稿: | 2013年7月 5日 (金) 10時00分

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